学びの集団 2009.6.29(月)

 

1.「しごと」学習

 先生どうしの話し合いの内容です。

 我が校は、「奈良の学習法」「奈良プラン」という伝統的な学習を目指しているのに、なぜか自分の研究教科を持っています。他の先生の研究教科にはあまり踏み込まないで、自分の研究教科を中心に文章を書いたり、公開学習をしたり、出張に行ったりしています。このことは、本当は学級の子どもにとってはとても迷惑なことで、学級の子ども、学級の学びを本当に育てるシステムになっていないということにもなります。

 では今、私達が本当に目指す教育の方向性は、どうあればよいのでしょうか。それは、「しごと」「けいこ」「なかよし」の全ての領域で、子どもが自律的に学びを進める学習にしていき、学ぶことを楽しめる子どもに育てる学校にしていくことが大切だと考えます。

 私たちは、先ず「しごと」学習の取り組みからのスタートです。子どもと共に奈良を歩き、奈良から学びをいかに創るかを日々考え続けることに集中していくことだと思います。教材になっていない物事を学ぶのは、とても大変なことです。先生用の指導書も参考書もない探究的な活動を作ることは、先生も子どもも、共に学ぶ人になります。そこで、先生には、子どもを超越した、教養や思考力や行動力が問われます。その所に自信のない私は、手間と時間とお金でカバーをします。本をたくさん買い、あちこち歩き回って調査をします。

 次に、「けいこ」の学習は、日々子どもと本物のしごと学習に取り組んでいると、どんな教科のどんな課題や素材でも、自分達で、学びの教材にしてしまうことが出来るようになります。しごと学習で身につけた力を発揮します。新たな事を学ぶには、事前にどんな資料を読んで、どんな準備をして、どんな学びの行動をするとよいのか。そして、学級で学ぶ仲間とは、どのような話し合いの探究をしていけば学習を楽しめ合えるのか。さらに、自分で学んだことや、友達と学び合ったことを、どんな表現でまとめて発表するのかを、けいこの学習でも身につけていきます。

 「なかよし」の学習は、しごとやけいこ学習で、どのように調査のお出かけをするか、どのようにグループを組むか、どのように話し合いをするか、また、日々の学習、生活をいかに過ごしやすい環境にするのかを、考えます。「なかよし」には、日々の自分達の学びに「強い課題意識」を持つことが大切です。俗にいうところのなかよし仲間、遊び仲間、けんかをしないよい子、楽しい学級を作ることを目指したものではありません。日々の「しごと」「けいこ」の学びの追究に向けた、学びの共同体を作るためのなかよしの構築なのです。

 このように、教科だけの研究に集中しないのが、我が校の本当の力なのです。

 

2.学びの工房

 私達の学校は、「奈良の学習法」を大切にしています。この「学習法」は単なる学習の方法として捉えて、理科の学習の方法、国語の学習の方法というものではありません。自分で学習を立ち上げて、自分達で学び合いをして、さらに深い学習へと子ども自身が立ち向かっていこうとする意欲を育てることが大切です。

 具体的に「自律した学習」の姿を表現すれば、子ども達が「学ぶ楽しさ」を体得する学習です。教師が学びの環境を巧みに作ることによって、子ども自らが身につけるようにします。楽しいといっても、教師がだじゃれを言ったり、おもしろい活動、楽しい自由時間を与えたりして、子どもを喜ばせることではありません。子どもが自分達で学ぶこと自体が楽しいという環境を作ることです。

 それでは、学ぶこと自体が楽しくなる学習を子どもが体得するには、どうすればよいのでしょうか。それは、教師が出過ぎないで、子ども自身の力が合わさることによって学習が深まる体験を何度もさせることです。自分達の力で、学びを作り上げられたという達成感は、学級を「学びの集団」へと変容させていきます。どんな学習でも、どんな教科でも、子どもは学ぶことを楽しめます。自分の手で調べたことが、友達とつながっていき、みんなで新しい視点、観点が見出されて、新しい学びの実感を得ていくことが大切です。独自学習の中の個人的な学びの中ではなくて、学級の一体感のある相互学習の中で、学習の意欲、学習の楽しさは育てられると考えます。学習法の実感は、学級のみんなで創る相互学習の中で育てられるのです。

 東大の佐藤学先生は「学びの共同体」という言葉を使われています。私は、「学び工房」というビジョンを持っています。学級を、学びの工房にして、学びの職人を育てるようにしたいと思っています。

 学びの工房では、教師も子どもも、小さな多様な素材、情報、知識を組み立てながら、新たな世界を創造していくシンクタンクになります。一人ひとりの個性や特性も育ってきて、得意ジャンル、専門性、技能も習得してきて、高度な研究機関、芸術創造アトリエ、運動技能集団へと進化していきます。しかし、この進化は分化していくのではなくて、みんなの力を集めて、高めあうことを楽しめる集団を意味します。

 「学びの工房」へと変容した学級は、どんな学習素材が与えられても、多様に料理していきます。これまでの学級が取り組んだことのない、その学級でしかできない取り組みを創造します。

 また学習環境には、あらゆる資料、参考書、辞書、事典、図書、インターネットがいつでも直ぐに使える状況にあることが大切です。そして、深い話し合いが出来る知性や感性と、どんな集団になって活動しても成果を出せる協同の心を持ち、さらに個人ではじっくり自分の学びに向かい合うことができる探究者の集団であるのが「学びの工房」です。

 このような学習を進めていくと、最終的には「優しさのつながり」が、とても大切になってきます。

 

 ■ お知らせ ■

<3年>

 太陽の動きのまとめ。温度調べ、光の研究をします。むしめがね、鏡を使った実験です。雨の時は、風やゴムの働きの学習です。

<4年>

 光電池、乾電池のはたらきの学習を進めます。電流計を使って、回路を流れる電流を測定します。

<5年>

 天気の変化の観察をします。気温、湿度、気圧、風、雲などについて学習をします。

<6年>

 人の体の学習をします。骨、筋肉、内臓の働きについて学習をします。植物の呼吸についても並行して調べます。資料を持ってきてください。

<大学>

 岩石の学習をします。石を割って、石の特徴を調べ、出来方を考えます。

<臨海合宿学習係>と<科学グループ>

 磯の生き物の発表について、準備をします。海辺の生き物の図鑑を準備してください。