環境の教育 2009.6.22(月)

 

1.理科学習はお天気次第

 毎年、大学の理科教育の教職講座を担当しています。最後のテストの時に、講義の評価を学生が、「シラバス通りに進めて欲しい」と書く人がいます。

 事前に「理科の学習は、お天気次第で、なかなか予定通りに出来ないことがあります」と、言っているのですが、来たり来なかったりする学生が、シラバス通りにしてほしいと書くのでしょう。最近は、天気次第の説明をしっかりしているので、理解してもらっていると思います。

 子ども達の学習も、お天気に関係するような単元の場合、複線の計画を持ちながら、当日の天気に左右されながら進めています。特に3、5、6年生の理科は週に一回しかありませんので大変です。担任で理科をしている時は、算数や国語の時間と入れ替えながら、進められますが、専科ではそういうわけにはいきません。

 3年生は、太陽高度の観測をしています。本当は夏至(6月21日)に近い6月22日の月曜日に観測する予定でしたが、天気予報では雨マークでしたので、急遽、6月16日(火)、17日(水)、18日(木)にしました。丁度、晴れの日が続き、夏の一日の太陽の動きの記録ができました。

 4年生は、光電池の学習です。この学習も、太陽が出ていないとできません。先週、天気がよかったので学習を進めようとしましたが、教材納入業者との連絡が悪く、光電池パネルがセットの中に入っていませんでした。さあやるぞと、大きなダンボール箱を開いた時入っていないことが分かり、乾電池のつなぎ方の学習を先にすることにしました。今週はお天気が良くないようなので、ちょっと大変だなと思っています。

 5年生は、天気の学習に入ります。川の観察のまとめと並行しながら学習を進めます。天気の学習は、一週間観測をして、その後そのまとめをします。一週間の間に、雨の日、曇りの日、晴れの日が混ざっていると学習には都合がいいのですが、例年なかなかそのようにいきません。晴れ続き、雨や曇り続きのことが多く、天気の変化の学習にならない場合もあります。

 6年生は、植物の成長で、光合成の実験をします。この学習は、2週間前から予定していて、人体の仕組みの単元と並行しながら進めていました。先週丁度、6年生の理科のある木曜日、金曜日が晴れたので、無事に、葉にできる澱粉を調べることができました。

 以上のように、理科は、実験観察の素材や環境を整えるだけでなく、お天気に合わせながら進めなければいけないので大変です。

 

2.学習の環境

 一人一鉢の学習をしています。3年生はヒマワリ、4年生はワタかホオズキを育てています。講演や学校指導で他の学校を訪問したとき、校門近くの花壇が美しく、子どもの一人一鉢の植物がきちんと育っている学校は、子ども達や先生方が落ち着いていて穏やかな学校である場合が殆どです。花壇の花が枯れていたり、一人一鉢がいい加減だったりする学校の場合、講演をしても先生方の心に話が届かないようです。家庭も一緒で、花の様子で、住む人が分かります。

 環境を整えるのは、校長を始め、管理職の責任が大きく、環境によって先生方が変わり、子どもが変わり、保護者が変わり、学校全体の学習をしていこうとする雰囲気が高まります。生き物を大切にする気持ちが、友達も大切にできる学校になっていきます。掃除、なかよしが、学びの基本にあるのですね。

 我が校の子ども達は、まだまだ心が育っていません。植木鉢を平気で飛び越えたり、耕して苗を植えてある畑や花壇の中を歩いたりと、信じられない行動をする子どもがいます。植木鉢をひっくり返して、育ち始めた苗が外に出ていてもそのままです。「勉強だけ優先」になってしまっているのでしょう。環境を整えて、心を育てて、なかよしを育てて、それからやっと学習が育っていくのだと考えます。

 

3.掃除を共にして

 朝の掃除時間に、畑を耕し、種を蒔き、雑草を取り、水やり、肥料やりなどをします。朝の掃除の時間がなかったら、お世話ができません。朝の掃除時間をいかに有効に使うかが大切です。

 先週までは、ずっと晴れていましたので、水やりが大変でした。小さな苗、そして花が咲いているペチュニアは、苗の上から水をやると苗が傷んだり、花が枯れてしまったりします。根もとにそっと水をやるようにします。円形花壇のペチュニアはSさんとIさんが、体育館横花壇では、Tさんがリーダーとして、裏の畑は、S君とN君が丁寧に水やりをしてくれています。優しい子達です。

 晴れた日の掃除時間は、先生は殆ど外の花壇、裏の畑にいるので、理科室掃除は、6年生がしっかり低学年を指導しながら頑張っています。班長が最後に残って、椅子を入れて、戸締りをして、掃除道具の片付けをずっと続けてくれています。外の花壇・畑から戻って来たとき、何時も6年生が最後の片づけを一人でしています。

 造形のS先生がご病気の頃から、造形室の掃除を気にかけてきました。専科の先生がいくら指導してもなかなか指示が通らない子ども達も多いからです。ご病気のS先生が気持ちよく授業ができるように心がけるようにしていました。今、造形室は、主に非常勤の先生方が使われているので、掃除の指導をきちんとしてあげないと、ぼろぼろの部屋になってきます。非常勤の先生方は、掃除時間にはいらっしゃらないし、また、学習時間に、掃除からしていると学習が進められません。そこで、造形掃除担当の造形A室のOさん、B室のE君が、頑張ってそれぞれの部屋の管理をしてくれています。造形室は、一日使うとたくさんごみが出て、手洗い場は絵の具で汚れます。机の上、戸棚の上が、紙屑、木屑だらけです。それを、毎日毎日、頑張って掃除をしてくれています。

 暑い花壇や畑の世話、日々汚れる造形室の掃除、毎日ありがとう。学習の積み上げの土台は、心つくり、環境つくりからです。

 

 ■ お知らせ ■

<3年>

 太陽の動きのまとめと、ヒマワリの観察をします。

<4年>

 電気の働きの学習を進めます。乾電池の直列並列つなぎと、光電池の働きについて学習を進めます。

<5年>

 川の学習の続きと、気象観測の学習に入ります。川の学習は、川の写真を見ながら、流れる水の働きを考えます。気象の観測は、どんな項目で観測をしていけばよいのかを考えます。

<6年>

 晴れていれば、光合成と呼吸の違いを比べます。曇っていれば、人体の骨と筋肉、そして内臓の学習を進めます。

<科学グループ>

 独自学習をしてもらいます。独自学習ノートに、自分の学習に関連した独自学習を進めます。

<大学>

 電気の発電、蓄電について、実験を通して学習をします。小学校では新しい単元として来年から取り入れられる単元です。