子どもの論理 2009.4.27(月)
1.研究開発学校指定
春の育友会総会で副校長が言っていましたように、昨年までの3年間の研究開発指定に続き、今年度から再び3年間の文科省研究指定校に選ばれました。今回のテーマは、「幼小一貫教育において『読解と表現を〈つなぐ〉論理的思考力』を育成する教育課程の研究開発」というものです。①3歳~11歳の初等教育学校の教育課程の開発、②その教育課程の中で、読解と表現をつなぐ論理的思考力の育成研究を進めます。
我が校には、「奈良の学習法」という子どもが自律的に学ぶ伝統があります。そこで、研究開発では、現代的教育課題である読解力、表現力、論理的思考力と、我が校の教育をつないで、奈良の学習法を全国に広げたいと考えています。
論理的思考力を真っ向から研究するのは、学校現場で日々子どもの教育に従事している私達には到底不可能なのですが、私達は、①「めあて」と「ふりかえり」②「おたずね」、という学びの方法を持っています。各学級、グループ活動、行事において、どんな学習活動の時にも、「めあて→おたずね→ふりかえり」という子どもの自律を育てる一連の進め方があります。学習も活動も、子どもの「めあて」で始めて、「おたずね」で進めて、「ふりかえり」で終えるというものです。これらの子どもの発言を、年齢発達的に、また、学習領域別に研究することにより、子どもの論理的思考力の発達を捉えていこうという研究課題です。
2.理科の学習
専科の理科を始めて5年目になります。ようやく専科としての理科学習の素材や教材が見えてきました。学校周辺の身近な自然、さらに奈良の地形、岩石、植生を扱った学習の進め方も、少し持てるようになって来ました。これからは、それらの素材を子ども達と一緒に追究しながら、理科学習でも、研究開発のテーマである論理的思考力の育成に、取り組んでいきたいと思います。
専科の学習は、280人もの子ども相手に、担任の先生とほぼ同じ時間数の学習を進めます。子どもが多い分、かなり大変なので、専科教諭になった最初の頃は、毎日を乗り切るだけで精一杯でした。最近は、本校の中高学年の子ども達に合った教材や自然素材がほぼ見えてきましたので、ようやく子ども一人ひとりの取り組みにも関われるようになってきています。
3.学習の進め方
論理的思考力を大切にしていくと、自由研究でも、いろいろな学習活動場面でも、
①その子がどのような考えを持ってその取り組みをしているのか、
②その取り組みによってどんな思考力が育ったのか、
を注意深く見ていくことが大切になっていきます。ただ単に知識を増やすためなのか、教師に言われて仕方なく適当にしているのか、自分の疑問の解決のためなのか、が問われます。
先ずは、自分なりの動機を持つことです。最初の動機は、教師に言われるからというのも仕方ないかもしれませんが、それを、自分の問題に書き換えて取り組み始めることが大切です。「自分なりのめあてを持つ」ということです。教師が与えた学習のテーマを自分の言葉で書き換えることが「学習のめあて」と考えます。
「学習のめあて」は、先の「読解」にあたるところを含みます。理科の場合、自然の読解、生活の読解です。教師の与えた「学習のテーマ」を自分の身近な自然、生活の中に落とし込んで、そこから見えてくる、①疑問、②予想、③やってみたいことなど、をまず考えます。それが、動機となり、学習が始まります。
次は、自分のめあての疑問や予想ややってみたいことに対して、予備調査をします。直ぐに解決にかからないで、資料調べをします。ここで活躍するのが、①辞書、②参考書、③図鑑、④インターネット、⑤人に聞く、⑥意見や体験を述べ合う、などです。理科室で行う場合は、辞書や参考書や図鑑を使って、先ずは調査をスタートします。独自学習です。その独自学習を発表して、相互学習をします。多くの先生は、独自学習と相互学習の調べ学習で、おおかた解決されてしまうと思ってしまうのですが、自然や科学現象への不思議は、なかなか本に書いてあることで解決できるものではありません。これからが、理科では大切なところです。
次は、「仮説」を作って、実験や観察へと進みます。教師も少し関わりながら、子ども達のめあてや資料調べから、帰納的、演繹的な論理を活用して情報を整理していきます。①なぜ、その実験をするのか。②データとしてはどんなことを持っているのか。③自分達は何を調べたいのか。などを、明快にしてから実験、観察に取り組みます。しかし、なかなか理想的には進まないのですが、理科教師は論理的思考の一つの方法として、このような学習の進め方を持ち合わせています。
実験観察は、仮説の実行となります。実験観察では、①このようにすると、こういうことが分かるだろう(予想)。②このようなことが分かる(結果)と、こんなことが言える(考察)。③分かったことは、最初の仮説や疑問を解決している(結論)。というような、一連の取り組みです。
4.子どもの論理
理科では、以上のような少し難しい言葉で表現した過程をたどりながら、学習力をつけています。言葉で書いてしまうと、かなり難しいのですが、子どもに適切な場面、状況、環境を作りながら、理科学習を進めています。
子どもの論理には、情報量が少なく、論理の飛躍、思い込み、ねじれ、事実と考えの未分離などが見られます。しかし、子ども達は、自分の考えをフルに活躍させて、科学的探究を進めます。
今、私達は、「子どもの論理的思考力は、段階をおって発達していくものである。」という仮説をもって研究を進めています。果たしてどんな発達段階を持っているのか、また、その発達はどんな場面で育てられるのかについて、今後の研究のめあてとして、進めていきたいと考えています。
■ お知らせ ■
<3年>
連休明けに、押し花の提出。最低10種、それ以上も歓迎。表紙をつけて、目次もつけてください。チョウの幼虫の飼育と、フィールドノートに観察日記をつけてください。フィールドノートは、スケッチ、写真、記録、グラフなどで表現する。文字は、理科ノートと同じように一行空けで使うこと。
<4年>
ツバメ観察新聞を連休明けに作ります。写真やスケッチや観察記録の準備をしてください。
<5年>
休み中に、川遠足のまとめをしておくこと。
<6年>
燃焼、酸素、二酸化炭素の学習を進めておく。家で燃焼実験はしないこと。
<大学>
春の自然観察の実技。