新しい理科学習 2009.4.8(水)
3年生のみなさんは、初めての理科学習ですね。配られた理科の教科書をめくって見ると、虫や花や豆電球や磁石の絵や写真がたくさんありますね。楽しそうだなと思っている人も多いと思います。また、理科教科書の中の写真には、こぎつね小学校の理科室や花壇の風景も見つけられます。モデルさんは、今の高校生が小学生だったころのものです。
さて、理科の学習は、毎回、理科室でします。理科専科の谷岡キツネ先生が、科学の世界へ案内します。
1.科学の世界の持ち物
学習の時の持ち物は、いくつもあるのですが、忘れていけないのは鉛筆、色鉛筆、定規、名前用マジックです。学習では当たり前にいる道具ですが、それが揃っていない学級が昨年もいくつかあって、呆れています。「これでは思考力を高めるノートは書けないわ」と思ってしまいます。
また、理科の学習では、辞書や参考書なども使います。しかし、辞書は、小学学習国語辞典では殆ど使い物になりません。なぜなら、国語学習のための辞書だからです。小学生が使う理科用の辞書は適当なものがありませんので、それに代わる物として、大人用の辞書(例えば広辞苑)や理科事典などがあります。3年生当初は、まだ、漢字を読む力が弱いので、広辞苑や理科事典を使いこなすことができない子どもが多くいます。早く、漢字を読む力をつけて、広辞苑や理科事典を使いこなす子どもが増えてほしいと思っています。実は、3年生が漢字の読む力を伸ばす勝負どころの年齢です。
2.科学的な思考力
理科の学習では、観察や実験の技術をつけたり、いろいろな知識を身につけたりしますが、一番つけたい力は科学的な思考力です。
科学的な思考力は、「順序立てて考える力」です。頭の中のコト(「できごと」を表すコト)ですが、その様子が実際に現れている場面が、ノートの書き方であり、机の上の様子であり、鞄の中の様子であると思います。思考力は、物事(モノ・コト)の整理能力と関連していると考えます。工夫して、自分なりに探究を進めていくコトが思考過程です。
そこで具体的に思考力を育てる手立てについて考えてみましょう。それは、読書計画、ノート計画、時間計画、資料整理、順序の計画などに当たります。どれだけきちんとできているかで、その人の思考力の状況が違ってくると思います。と、いうよりも、教育では、このあたりをきちんと育てるコトが、思考力を高めるコトにつながると考えます。
理科学習では、観察や実験の計画・整理を子ども自身に進めさせていきながら、科学的な思考力を育てていきます。
3.学びの世界へ一歩
先ずは、持ち物の整理です。先にも書きましたが、学習に必要なモノを揃える。必要でないモノは学校に持ってこない。次に、家の学習机の上の整理、鞄の中の整理を常にします。さらに、学校の学習に合わせて、読書計画を立て、図書館で本を借りて計画的に読んでいく。そして、現在の学びを常にノートに整理しながら記録し、記録を見直しながら、次にするべきコトを見通すようにします。
子どものころの時間はゆったりあると思うのは間違いです。いろいろやりたいコトがある子どもは、塾や宿題に追われて、読書もろくにできないと思っています。子どもの本は、2時間もあると1冊読めるものです。一日数冊ペースで読んでいくコトができます。大人も一緒です。
理科の学習時間には、ノートを整理して書く技術を伝授します。内容は自分で考えるのですが、方法を伝えます。3年生で、半数ぐらいの子どもがある程度理解して、取り組めるようになります。中には、キツネT の伝授以上の工夫をしていく子どもも育ってきます。学年が上がるごとに、考えるためのノート記録ができる割合は増えるのですが、最後まで伝わらないまま卒業していく子どももいます。
漢字力をつけるには、たくさん本を読み、たくさん資料から調べ学習をすることに尽きます。漢字力検定など受けている場合ではありません。目の前の学習に本気で集中して取り組むことが、漢字力をつけ、読解力を高める近道です。
次にモノを揃えることです。辞書、参考書、図鑑は、基本的な学習の武器です。自分の身の丈に合ったモノに順次買い換えながら消耗品として使ってほしいモノです。キツネTは「理科の学習に図鑑や辞書を使うので、持ってきてね」と言います。そして、「決して強制ではなくて、どんなモノでもいいよ。ない人は無理しなくてもいいよ。」と、一応、付け加えることは忘れません。
4.モノ・コトについて
ここまで、モノ・コトを片仮名で書いてみました。モノについては、保護者のみなさんが積極的に関わって、支援してあげる必要があります。買ったり揃えたりします。理科室でも、子どもの多様な要求に対応できるモノを揃えています。 コトについては、状況を作るのは保護者や教師の仕事ですが、思考力は子ども自身が努力して身につけていくのです。身辺の整理やノートの整理、時間の計画など、親や教師がしてしまうと、子どもは身に付かないのです。状況を作るお手伝いだけをしましょう。
5.感動と発見
理科は、実物を扱うところから学習を始めます。幼虫を飼い、植物を種から育て、草むらや木々を観察して、太陽の動きを調べます。モノの様子を、自分なりにノート記録していきながら、自然のつながり、法則などを発見していきます。
本や塾、保護者は、モノの具体的な観察をしないで、つながりや法則だけを分かりやすく説明してしまいます。そうなると子どもは、教えられて分かった気になり、モノを具体的に整理しながら自分自身でとらえていく力、すなわち思考力が育ちません。
モノをじっくり見ていくと、それぞれのモノの中には奥深い宇宙の広がりが感じられます。子どもとモノの感動ある出会いを、大人が取り上げないで、見守り育てるようにしたいと思います。
■ お知らせ ■
<3年>
来週から理科を始めます。ノートは、理科室で準備します。持ってくる物は、下敷き、色鉛筆、名前用マジック、定規、セロテープ、ハサミ、教科書です。植物図鑑もあれば持ってくる。
<4年>
校内の「さんぽ」をします。春の自然について、観察をします。持ってくる物は、下敷き、色鉛筆、名前用マジック、定規、セロテープ、ハサミ、教科書です。植物図鑑を持ってくる。
<5年>
「花のつくり」の学習をします。おしべ、めしべ、花粉などが観察しやすい花を、一人一つ持ってきてください。無理を言いますが、お庭に咲いている花一輪、子どもに持たせてください。種の発芽実験は、5月の連休明けから始めます。
<6年>
ふりこの実験をします。独自学習しておくこと。