理科と算数 2008.12.1(月)
理科の時間、表の活用、棒グラフ・折れ線グラフ、体積の算出が必要になったりします。古代ギリシャの科学が発達する時、数学も創り出されたように、子どもたちの理科の追究にも算数のカリキュラムには関連なく、必要になってくることがあります。現在取り組んでいる学習の中で、必要になってきた算数を取り上げてみたいと思います。
1.3年生 <グラフ>
いろいろな物の温度を測定したとき、基本的には棒グラフで温度を表示しますが、気温の年変化などは、折れ線グラフで表示します。 この時
①線と線の交点として、座標の位置を決めることができるか。
②点を順番につないでいくことができるか。
③グラフの変化を読み取ることができるか。
などが問題となります。
少し前のお便りに、「英会話教育を小学校でするのですから、漢字を読む学習は、低学年からどんどんするようにしましょう」と、書きました。同じように、グラフも、グラフを書くことに先立ち、グラフを見て考えることができるように、しごと学習や、社会科、保健、食育など、いろいろな学習の場面で活用することが大切だと思います。
理科でも、グラフを書くことに合わせて、読む学習を多くの場面でさせていきたいと思います。ご家庭でも、得られたデータをグラフで表現するような自由研究に取り組んでいくようにしましょう。
2.4年生<体積>
今、「空気や水の性質」の学習をしています。空気を温めたり冷やしたりしたとき、空気の体積が変化しますが、どれくらい変化するのかを子どもたちは測定しようと工夫しています。
丸底フラスコを使って、せっけん膜をつけて調べていると、膨張の様子はフラスコの口にできるシャボン玉の直径を測定していました。また、収縮は、せっけん膜がフラスコ上部の円柱の部分を、どれくらい下がったかを調べていました。
この時、球の体積、円柱の体積が必要になってきます。「球の体積や円柱の体積の求め方を知っていますか?」と聞くと、だれも知りません。「日頃の独自学習が足りませんね。」と言いながら、教えることにしました。
空気の膨張と収縮を、このように量で捉えようとした子どもたちは、これまで初めてです。いろいろな体積の出し方を、研究しておいて下さい。
3.5年生<表>
子どもたちは川のまとめを書きました。アメリカへ行かせていただいていた2週間の間に、自分の家の近くの川と、そこから上流か下流へ行き、川の流れの働きの違いを調べるという課題を出しておきました。大変だったと思いますが、子どもたちは、写真や観察記録を持って、学習に望んでくれました。
いつものように、1枚レポートは、課題、(予想)、結果、考察、感想という問題解決の過程に沿って書いてもらうようにしました。
また、結果には、①地図を入れる、②比較を表にまとめるように言いました。
ニ箇所以上調べている人も多くいて、その場合、それぞれの観察地点の違いを、表にしていました。
表にまとめるというのは、算数では変化を数字でまとめて、それをグラフ化するための手段としています。理科でも、物理分野をはじめ、変化の数値を整理するために表をどんどん使っています。
しかし、言葉や絵を表にまとめていくという、状況を比較したり、構造化したりする時にも、表を使うようにしています。国語でも、文章の構造の整理や、登場人物の心の動きを表にまとめて整理しますね。
表に整理するということは、「何かの観点」で構造化するということですから、とても大切な「論理的な思考」を推し進める手立てになります。これからも、多くの場面で積極的に活用していきます。
また、グラフと同じように、表を読み取る能力は、表を書く活動以前から学習を進めるようにしたいものです。どんな観点で表にしているのかを読み取り、どのような違いを表現しているのかを考えるのです。
4.6年生<単位>
地層の学習をしています。地質年表を書き、46億年前から現代までの生物進化を勉強しました。先カンブリア時代から、古生代、中生代、新生代となりますが、これらが、社会科で習う、縄文、弥生、古墳、奈良、平安・・・時代とどのようにつながっているのか、子どもたちの頭の中で整理することが大切です。
また、6年生にもなると、理科学習の中で、いろいろな単位が出てきます。地震のマグニチュードや震度があるのですが、それらの単位はどのように決められているのか、また、電気の電流量(アンペア)、電圧(ボルト)、抵抗(オーム)、さらに最近初めて使ったコンデンサの容量(ファラッド)や、水溶液の酸性アルカリ性(pH)なども、活用しているのですが、どのように決められているのか、単位の構造や関係を、算数的に整理していくようにしたいと思います。
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以上のように、9月以降の小学校の学習だけを考えても、理科と算数は、とても密接に関連していることが分かります
これまでの科学の歴史を見ても、数学が先に発達して科学を作ったり、また、科学の現象を表すために数学が作られたりしてきているようです。理科で必要な算数を自分で学んだり、算数で学んだ方法を理科に使っていったりしていくようにしましょう。
■ お知らせ ■
<3年>
・晴れたら光の学習、曇っていたら電気の学習をします。準備は、特別必要がありません。理科室の道具を使います。
<4年>
・空気のように、温度のよって水も膨張や収縮をするのでしょうか。圧力をかけた空気鉄砲、水鉄砲の時、水は変化しませんでした。
<5年>
・水に溶けるものの性質について調べます。いろいろな固体が、溶解する状況を観察したいと思います。
<6年>
・地層の観察を、スライドを使って、読み取りをします。大阪層群と和泉層群の比較から分かることを考えます。
<科学G>
・水溶液の性質を、探っていきます。酸性、アルカリ性について、塩酸や硫酸や水酸化ナトリウム水溶液を使って学習します。