教育で大切なこと 2008.11.25(火)

 

 教育で何が大切かを考えます。いろいろな学校の研究会に行って、それぞれ、研究校の教師は理論を立てて教育実践をしていますが、さて、その活動は、本当に子どもにとって大切なことなのだろうかと、考えさせられることがあります。そう言っている私(きつねT)も、あちこちに行って、偉そうに学習論を語ってしまっていますが・・。

 そこで、まず子どもにとって学習とは、何が大切なことかを、考えてみたいと思います。

 

1.子どもの学習の大地

 まず、子どもが今、思っていること、考えていること、興味のあること、面白いと思うこと、辛いこと、悲しいことなどを、言葉にできることが大切です。

 低学年で、朝の会をしていると、「昨日、お母さんと、お父さんが、大きな声でけんかをしていました」」と、なにげなく言うときがあります。「つらいんだなあ」と思いますが、さらっと聞き流したふりをして、しっかり心に留めておきます。あとで子どもに寄り添います。

 また、高学年の子どもは、仲間はずれなど、いじめをしたりします。はずされている子どもの休み時間は、行く場所がなく、先生の周りでうろうろしています。学級の調子のよくない時は、昼休みも学級の机で仕事をしながら、仲間はずれになっている子どもにお手伝いをしてもらったり、雑談をしたりしながら、様子を見ます。

 心の悩み以外でも、朝の会で持ち込まれるいろいろな会話を一つひとつ受け止めていくと、子どもたちは、多様な発信をしています。楽しかったこと、興味のもっていること、友達の発信に反応していることなど、家庭の生活と、学級の文化を行き来しながら、子どもは育っていくのが分かります。

 朝の会をしていないと、そんな子どもの心の声を聞く機会を逃してしまうことになります。朝の会は、本当に大切な時間なのです。

 理科でも、「学習のめあて」の時に、モノやデキゴトに関わる自分の体験や思いや意見をしっかり言える学級があります。朝の会を丁寧に取り組んでいる学級だと感じます。私が予想している以上の「豊かに広がる子どもの世界」があるのが感じられます。未熟で、間違いもあって、事実と空想の入り混じった奇妙な世界なのです。

 理科学習の時、あまりにゆっくり最初の学習のめあてを聞いていると、それだけで、学習時間の半分にもなってしまいそうになることもあります。しかし、実はそのことが、本当に大切な学習なのです。生活や体験や自分なりの知識を語りながら、学びを編み込んで行く学習の根底を探します。その学びの底を見つけてると、そこに学びの大地が広がっているのが見えてくるように思います。

 子どもの声をたくさん聞き、根底に広がる大地を見極め、その大地に科学の芽を見つけると、本当の学びが育ちます。

 子どもの大地を見極めないで、無駄に種を蒔いたり、苗を植えたり、温室から出したものをすぐに植えたりすると、空中で植物を育てているのと一緒なので、育つわけがないのです。子どもたちの学びが、根も出せないで、ふらふら浮かんだままになってしまっていないか、いつも考えないといけないと思います。

 

2.だれのための学習か

 教育は、だれのためにあるのか。当然、子どもたちのためにあるのですが、それが、学校の研究のため、教育理論のため、先生の実践研究のためにあってはならないのです。子どもの事実に寄り添い、子どもに生きるための力をつけることを目指します。

 漢字が間違って書かれていても、言葉使いが大きく間違っていても、国語ノートや宿題ノートに指導が入らないのは、子どものための学習になっているとはいえないのです。

 理科でも、間違った植物や昆虫名があったり、レポートやノートの書き方が乱れていたりすると、それを指導するのが子どものための教育です。書かせること、させることに意味があるのではなくて、そこにある、子どもの事実の大地の様子を読み取り、一つひとつ指導することが大切なのです。

 私達の学校は、これまで、極端な言い方をすれば、教えない教育、指導しない教育といわれ、「自ら学ぶ力の育成」を目指しています。それは崇高な目当てで一面ではよいのですが、子どもの間違いをそのまま放置することにもなりかねないのです。全ての間違いを、その時、その時、訂正することは出来ないのは当然ですが、子どもとしっかり向い合って、分からないことを分かるようにしていくことが本当の学習です。

 学校の花壇や畑で苗を植えます。子どもと一緒に、種から苗を作り、土を耕し、肥料をやり、苗を植えて育てます。その途中でいろいろな問題点が生じますが、それを乗り越えることで、花が咲きます。土と対話し、植物の顔色を見ながら、問題点を見つけ改善していくのが、子どもにとっての学習というものです。

 ポットの苗を買ってきて、土も買ってきて、土と苗をあわせて、書かれてある通りに水をやると、花は咲きます。しかし、企画が全て一緒でないのが、人の成長です。季節の変化、環境の急変、土壌の状況を読むことが大切です。

 このように、子ども大地の起伏を読むには、一律の方法論はないように思います。子どもの声を聞き、ノートを読み、健康状況を見て、その子に必要な指導が大切です。研究会でいろいろな授業を見て、教師だけ頑張っている学習を見るたびに、思うことです。

 

■ お知らせ ■

<3年>

・落葉樹と常緑樹の学習をします。秋になると紅葉して葉を落とす植物の観察をします。他には、針葉樹と広葉樹についても、少しだけ学習します。

<4年>

・水や空気の性質について学習をしています。お家実験で、10円の実験や、お風呂で瓶を使ったシャボン玉実験をしましたか。次に、空気はどれくらい膨張するのかを調べます。

<5年>

・水に溶けるものの性質について調べます。固体が、溶解する状況を観察したいと思います。

<6年>

・地層の観察を、スライドを使って、読み取りをします。大阪層群と和泉層群の比較から分かることを考えます。

<科学G

・水溶液の性質を、探っていきます。酸性、アルカリ性について、塩酸や硫酸や水酸化ナトリウム水溶液を使って学習します。