言葉の教育 2008.9.29(月)
我が校は独自学習を中心とする「奈良の学習法」という学び方を進めています。子どもが自ら学習を進め、自分で課題を深めたり、広げたり、新たな取り組みに挑戦したりします。
その時、自分で用語や意味や疑問を確認しながら学習をしないと、「調べているだけ、書いているだけ、聞いているだけ」の学習になってしまいます。
私の理科学習では、辞書や事典がないと学習が始まりません。例えば、酸、アルカリ、金属、てこ、星座、一等星、昆虫、受粉など、賢い子ども達は、ノートを書きながら意味を調べて文脈に書き込み、人の2倍、3倍の学習をします。その時、辞書、参考書は、理科学習に適したものが必要です。
辞書というと、小学国語辞典を思い浮かべますが、それは国語学習には適しているのですが、他の教科の学習には利用できません。小学校の国語学習のための辞書なのです。そのため、本来各教科ごとの辞書事典が必要なのですが、そうすると、膨大な数の辞書事典を準備しなくてはいけません。
例えば、社会科の地理でも歴史でも時事的内容にも使えて、なおかつ、理科のいろいろな用語、植物、昆虫などの内容も必要です。また、算数の用語や人名の説明なども、ある程度載っている適当な大きさの辞書はと探すと、「広辞苑」に行き着きます。広辞苑は、本当にコンパクトに精選された、小型の百科事典なのです。
普通の生活では、逐次出会う言葉を辞書に当たりながら話をしたり、聞いたりしませんが、学習は追究のためにするので、その分野を深め、広めるために、辞書事典を使います。
辞書のない学習は、「教え込みだけ」「活動だけ」の学習になりがちです。活発に話し合っている学習でも、根拠の薄い予想だけのやり取りになってしまいます。
学習法というのは、自分で学習する方法を、自分で身につける学習なので、教え込む人がいなくても、個人で学習が進められる人に成長させることが大事です。そのためには、辞書事典はどうしても必要なのです。
次に、広辞苑は、コンパクトに作るために、漢字が多く使われていて、なかなか子どもたちが読めないというのが問題点です。そこで、漢字を出来るだけ早い時期から読めるように、どんどん漢字を読む習慣をつけます。書くのは、国語の学習指導要領の定めるところに従って指導するとして、読むのは小学校1年生から、積極的に読ませるようにします。しかし、漢字を読ませるために、必要以上に難しい古典や小説を読む必要はありません。私は、親向けに出されるお便りを、低学年から終わりの会で、子どもが協力して読む取り組みをしていました。また、自分の名前も、1年生の2学期ごろからノートや学習プリントに漢字で書かせて、それらを、みんなで協力して配る活動を大事にしていきました。連絡帳にも、漢字を積極的に使うようにしました。
このようにして、漢字を読む機会を増やすことで、大人向けの辞書が4年生ぐらいで読めるようにします。そうすると、学習が一気に広がります。しごと学習も理科学習も、大人の資料を、子どもが自由に使えるようになるのです。
日本人は、幼児からの英語教育以上に、漢字の読み教育を、もっと積極的にするべきだと思います。低学年から、親も、あらゆるところで漢字を使っていき、子どもの漢字読み能力を高めるようにしましょう。
<曽爾高原>
キツネTは、3年生の自然体験学習に、曽爾高原へ行きました。
曽爾高原は、ススキの原がとても美しいところです。風に吹かれるススキの風景は、秋の日本の風景です。最近は、白川郷へススキを供給していると聞きました。おそらく昔は、奈良県にもあった茅葺民家のかや場だったのでしょう。
夕方から翌日にかけて、寒冷前線の通過があると天気予報で言っています。3年の先生は、日程を変更して、最初の活動は、お弁当を持って亀山登山にしました。
20分ほどで、亀山の頂上に着きますが、前線通過前の湿った空気の中を登るので、汗が流れます。頂上では、下から吹き上げてくる風が通りぬけて涼しく、アキアカネがたくさん集まって飛んでいました。また、上昇気流に乗って上がってくる虫を捕まえているのか、ツバメも飛び回っています。
亀山からは、頂上が奇妙に侵食された山々が幾重にも重なって見えます。この一帯は、溶結凝灰岩からなっていて、丁度阿蘇山の外輪山の周辺のような場所に当たります。火砕流噴出物で埋め尽くされた大地が、川の浸食の働きで、深い谷を作っています。しかし、大量の火砕流を噴出した火口は特定されていなくて、おそらくあると思われるカルデラの場所も分かりません。
頂上で昼食後、山を下りて、お亀池の周辺で虫取りや植物観察をしました。太陽が出ていないので、チョウは見かけませんが、湿地帯に生えているシシウドやオミナエシやヒヨドリバナには、ハチやオオスカシバが飛び回り、蜜や花粉を集めています。子どもたちは、よく見える目で、大きなヒキガエル、ヤモリを見つけていたり、登山道ではヘビも見つけています。ススキの草原からは、コオロギなど鳴く虫の声が昼間でも聞こえます。イナゴやクサキリやカマキリなどの昆虫も捕まえることができました。
夜は、星座観察です。星を趣味にされている奈良市の中学校の先生が指導に来てくださいました。星座の話をしながら雲の隙間に見えるデネブやベガやアルタイルなどを指し示したり、明るく輝く木星を教えてくださったりました。望遠鏡を準備していたのですが、曇りがちで、使うことが出来ませんでした。そしてついに全天雲に覆われてしまい、観察を終えました。
その後、お亀池までナイトハイクをして、夜の野原の様子を体験しました。
翌日は、一時間に30ミリもの強い雨が降り、一時大雨警報も出ましたが、帰りには雨もあがり、川原で石の採集ができました。