夏休みの科学生活 2008.9.8(月)
1.フィールドノート
キツネTは、夏休み明けに提出された、各学級の夏のフィールドノートを9月最初の数日間をかけて見ました。約40日にわたる記録なので、とてもたくさんの量を書いてくれていて、それが7クラスもあるので、読むのが大変でした。中には、夏休み中に力を付けてきている人もいて、読んでいてわくわくするノートもありました。もしかしたら、この子は天才ではないだろうか、などと思えるようなノートもありました。
夏を科学生活的に過ごしてくれている家族は、博物館、水族館、科学館などに行ったり、野外観察会、理科実験講座に参加したりしていました。平城京跡のツバメのねぐら観察会や、奈良公園の自然観察会、海辺の生き物の観察会などの記録もたくさんありました。また、ダーウィン展に行って、進化論についての学習や、自分の身近な生き物の進化について考えて記録している人もいました。
行き先は、関西の博物館だけではありません。東京の国立科学博物館、科学未来館をはじめ、北海道の旭山動物園や、山梨県のオオムラサキセンターなどの報告もありました。勿論、学級の日記帳や旅行記や自由研究には書いていて、フィールドノートに、書けていない人も多くいると思います。それは、それでしかたないことです。両方に書くのは大変なことですので、理科教室に提出できないのはしかたありません。より多くの人が、きっと自然を見る目を養ってくれていることと思います。
また、あまりお出かけをしていなくても、毎日、植物や昆虫や雲や魚などの飼育・栽培・観察を続けて、その変化や成長を記録している人も多くいます。数日間隔で変化・成長の様子を記録していて、それをグラフ化しています。このような地道な記録は、科学の基礎的な力をつけます。素晴らしいノートです。
科学の講習会や、観察会は、自分からはたらきかけなくても、講師の先生が、指導をしてくれます。展示物や配布資料に、見方考え方も書かれています。そのまま理解するだけではなくて、自分から自然にはたらきかけて、その裏に隠されている自然のしくみや構造を見つけるのが、科学的な追究で大切です。しかし子どもの発見は、殆ど先人の科学者が発見していることなので科学の発展に寄与しまませんが、子どもの成長にはとても大切な体験になります。いろいろ考えをめぐらせることが、生きていくかけがえのない力となります。
2.科学生活のレポート
夏休みの生活の中で、自分が一番心に残った科学的な出来事や観察を、一枚レポートにまとめてもらいました。フィールドノートの記録を見ながら、データやスケッチや写真をもとに、考察していくレポートです。
特に今回、書く前に何度も説明したことは、「観察した事実から、自分はどんなことを考えたのか」という考察を大切にして欲しいと言うことです。本からの丸写し、観察会の報告書ではなくて、レポートの中で比較をして、特徴的な違いを見つけ、その違いは、なぜ違っているのか、自分なりに考えることを大切にして欲しいと、繰り返し説明しました。
レポートがとても美しく書けていても、自分の考察のないものは、科学的な思考がまだ、鍛えられていない子どもです。不思議に思うことを見つけて、間違っていても自分の考えをいくつか書いている子どもを、今回は、高く評価しました。推論する力、論理を組み立てようとする力を引き出す取り組みと考えました。
5年生は、B4用紙の大きさの紙に、30~40分間で、テーマ、結果、考察、感想をまとめました。
3・4年生は、60~70分間で、同じようにテーマ、結果(わかったこと)、考察(結果から考えたこと)、感想をまとめました。
短い時間に、全員がそれなりにレポートを書き上げることができました。子どもの力って無限だなあと本当に思います。特に5年生は、短い時間内に素晴らしいレポートを仕上げました。事前の心構えもなく、その場でレポートを書くことを伝えられて、直ぐに取り組みをしたものです。素晴らしいレポートのいくつかを、廊下に掲示していますので、見てください。
3.子どもの思考力
今回も、思考力について考えましょう。自分でテーマを決めて、それを自分なりにレポートにまとめるというような課題を出したとします。それを、家で取り組む場合、子どもは「どうしていいのか、わからない。」「やる気ない。」「つかれた。」の連続で、おそらく親が下書きをしたり、構想や資料を準備をしたりして、子どもは、それを書くだけの場合が多いのではないでしょうか。テレビを見ながら、眠い目で夜遅くにするので、いい加減なものになってしまう場合もあるでしょう。自由研究が、おそらくそうなってしまっている家庭もあると思います。中には、昔の卒業生で、「自由研究は、寝て起きたら、いつも出来ていた」と言う子どもがいました。
学校も、限られた時間しかありませんので、その中で、いかに子どもの思考力を伸ばす取り組みをするのかが、問われます。また、毎回、レポート書きをさせるわけにも行きません。
かつて私は、子どもに多くの体験をさせるだけで、また、素晴らしい環境を作りその中で育てるだけで、子どもは育つのではないかと考えました。しかし、思考力、論理力は、素敵な体験や環境の中だけでは育たないと考えるようになりました。一緒に考える人と、考えを表現する場が大切なのです。
「物を見て、現象を見て、そこから何が分かるのか」を考え、表現するのです。「問い」「疑問」「差異点」を見出し、裏にある原因、要因を考えることが大切です。
■ お知らせ ■
<読書>
「ファーブル植物記」という本を知っていますか。ファーブルが自分の子どものために書いたと言われる本です。とても素晴らしい本です。
<3年>
虫の体のつくりについて、調べていこうと思います。昆虫標本、飼育している昆虫、捕獲した昆虫などを準備してください。昆虫図鑑も準備してください。
<4年>
「月や星の動き」の学習をします。月の観測レポートを持ってきてください。月の資料を持ち込んでください。
<5年>
「てこと天秤」の学習をします。てこのはたらきを使っている道具を、一つ準備してください。
<6年>
家で調べた、酸性、アルカリ性の水溶液の結果を持ってきてください。次は、BTB試薬や、ムラサキキャベツを使って、水溶液の性質を調べます。