白川郷  2008.9.2(火)

 

 きつね先生は、8月31日と9月1日の二日間、6年星組の遠足の付き添いで、五箇山・白川郷へ行きました。この地区へは、今年の7月より高速道路がつながり、陸の孤島、秘境と言われてきたのが、都会とスイスイつながることになりました。

 かつて、五箇山・白川郷へは、深い谷底の川沿いの道しかなく、つい最近まで、雪が積もるとほとんど行き来ができなくなる状況でした。さらに以前は、川沿いの道もなく、人や馬しか通れないような、高い山々の峠越えの道しかありませんでした。そのため、タイムカプセルのように、昔の生活の形態がつい最近まで、続けられてきた土地です。

 かつて、キツネ先生も、タヌキ先生と一緒に学年を持っていたとき、5年生の子どもたちと一緒に白川郷と五箇山に行ったことがあります。もう5年も前のことです。その時は、一泊目は白川郷の民宿5つに分かれて宿泊したことを思い出します。白川郷では、小学生の宿泊は受け入れたことがないと、最初は強く断られたのですが、交渉を重ねて、初めて小学生が白川郷の民宿に宿泊することができました。当時の子どもたちは、それぞれ5つに分かれた民宿で、担任の先生がいなくても、夕食をきちんと済ませて、夜のつどいでは、それぞれの民宿の方々にお尋ねをするというような、自分達の学びを進めました。

 二泊目は、今回の6年星組と同じ、五箇山の青少年宿泊施設の中にある大きな合掌造の民家に宿泊しました。この合掌造の家は宿泊だけの棟で、食事は鉄筋の大きな食堂でいただくようになっています。

 今回の6年生の目的は、音楽の先生の学級なので、山の人々の暮らしと、その地の民謡の研究を中心に進められました。昨年から学級で取り組んでいる篠笛と太鼓で演奏してきた「こきりこ節」のふるさとが、この五箇山の地なのです。

 「唄の館」へ行ったり、「ささら作り」の体験をしたり、夜のつどいでは、地元の方々による五箇山の地に伝わる多くの「民謡」を聞いたりしていました。

 民謡というのは、テレビなどで見ていると、年寄りっぽくて、どうも一生懸命聞くことは無かったのですが、紋付はかまの正装の9人のお囃子と、きちんと衣装をつけた男舞、女舞の方々が、真剣に子どものために踊ってくださっていて、本当に迫力のあるものでした。生活に根ざした表現の芸術性が、初めて感じられました。踊りの間には解説が入ります。この地域の自然や生活の厳しさ、流刑の地であったこと、塩硝などの話を聞きました。また、お囃子の方の母は、小学校しか学校に行っていなくて、祖母は学校に行っていなかった時代の人だったと、生活の厳しさも、この唄の背景にあることがわかりました。民謡が生まれる過酷な自然や風土と、多くの民謡が生まれる人々の願いが、伝わってきました。

 前回、キツネTが五箇山に宿泊したときは、たくさんの星の輝きと、川の流れに虫の声が静かに聞こえる山里でした。しかし今回は、村の上の谷をまたいで走る高速道路から、不気味な轟音が一晩中、夜の谷に響いていました。便利ということは、こういうことなんだと、悲しくなりました。わずか5年の年月でも、時の移ろいを感じました。

 

 <理科の学習について>

 9月からは、また心新たに理科学習に取り組んでいきたいと思います。皆さんの夏休み中のフィールドノートを見ていると、取り組みの素晴らしさに、きつね先生の方が身の引き締まる思いです。

 私も、休み中には、各地の学校の理科教育の支援、宿泊を伴う研修会に参加してきて、情報を増やしています。東京、長野県、千葉県、福井県の研究会に研修企画委員として参加したり、石川県、奈良五條市などの学校の指導、新教科書の編纂など、理科教育のいろいろな場面で研修を積んできました。

 9月からは、体験的な学習はもちろん大切なのですが、体験を抽象化して、考えを構築していくところに力をかけていきたいと思います。3年生の昆虫標本、4年生の太陽・月の観測、5・6年生の貝や海草の標本など、本当に素晴らしい取り組みをして、体験的学習をしています。しかし、子どもたちの問題点として、体験には興味を示すのですが、抽象的な思考には興味を示さないという傾向もあります。現象や表現の裏にかくされている大切なものは何かを捉えようとする力をつけたいと思います。

 例えば、親子で、博物館や動物園や水族館へお出かけして、子どもは訳もわからず走り回って、親は親で関係ない話をしてただ歩いているだけになっていませんか。親子がしっかりと、物を見ながら、その物の特徴、背景の環境、変化などについて話し合いができている家庭の子どもは育ってきます。親子で思索することが、大切です。塾任せだけでは、賢くなりません。

 子どもの会話を聞いていても、自分の体験していること、例えばゲームのことばかりを話している子がいます。そして、そういう子どもにかぎって少し難しい話には全く興味を示さないのです。そのような様子を見ていると、少し悲しくなってきます。本当に賢いというのは、「物のうらに隠されている真実を見抜こうとする力」が大切ではないかと思います。

 現代の大人は、子どもを経済の対象にして、子どもや親をだまして、お金を稼ごうとしています。甘い言葉のうらに、面白いゲームのうらに、楽しい場所のうらに巧妙に隠されている、したたかな大人たちの魂胆を見抜く力を持たなければいけないと思います。

 そこで理科では、

①事実と考えを分ける力

②理由を述べる力

③推論をする力

④見通しを持つ力

⑤帰納的に考える力

 など、論理力をつけるような取り組みを進め、「考える子ども」を目指します。

 

 

 ■ お知らせ ■

<読書>

 夏休みは、読書をしましたか。自ら学ぶ力をつける基本が、読書です。秋も読書を続けましょう。キツネTも、次々と本は買っています。

<3年>

 今週は、夏休みの科学生活をまとめます。来週は、「昆虫の体のつくり」について学習をします。

<4年>

 今週は、夏休みの科学生活をまとめます。来週は、「月や星の動き」をします。

<5年>

 今週は、夏休みの科学生活をまとめます。来週は、「てこと天秤」の夏休み前の続きをします。

<6年>

 「水溶液の性質」の学習から進めます。酸性、アルカリ性の水溶液の性質を、調べていきます。

<白浜の貝と海草の標本>

 5,6年生は、9月8日(月曜日)までに、標本を提出してください。6年生は、昨年の標本に、今年の標本を付け足してリニューアルして出してください。