図鑑・辞書の活用

 

ハコベ(ナデシコ科)について、いろいろな植物図鑑や国語辞典で調べてみました。調べると、予想以上に違う内容で説明されていて、その違いが面白いです。説明の分からない言葉をさらに調べると、植物に詳しくなります。

■『原色牧野植物大図鑑』(北隆館)  世界の寒帯から熱帯まで広く分布。道ばたや畑にふつうにはえる越年草。軟らかい草質。茎は束生、下部は横に伏し、斜上し、長さ1030cm、片方に1列に毛がある。葉は長さ1~2cm。花は春に咲く。春の七草の1つで食べられる。小鳥の餌にもする。別名アサシラザは朝の日に当たると花がさかんに開くので朝開けの転訛。

■『校庭の雑草』(全国農村教育協会)   1年生または越年生。あき地、道ばた、校庭、畑地など、各地に普通に生育する。春によく目につくが、他の時期にも発芽し、成長をくり返している。茎はもとの方でさかんに分枝し、下部は地面をはい上部は斜めに立って、群がった状態になる。茎に赤みをおびることが多い。茎の片側に1列の毛があるが、節ごとにその向きは変わる。葉は対生し、下部のものには柄があるが上部のものには柄がない。花期はおもに2~4月。枝の先に白い花をつける。花弁は5枚で、それぞれが深く2裂する。おしべは1~7本。めしべの先は3本。葉がやや大きく、茎がやや立ち、おしべが5~10本のものをミドリハコベとして区別する。

■『人里の植物』(保育社)   どこにも多いやわらかな草で帰化説もある。茎は枝多く、やや地に伏し高さ1020cm、片側に毛の列がある。葉は卵型、濃緑色、無毛。下方の葉には柄があるが、上方のは無柄。花は白色、花弁は深く2裂し、花柱3、雄ずいは1~7本。種子は径1~1.2mm、ごく低い突起がある。花期:周年。

■『世界文化生物大図鑑植物Ⅱ』  旧世界原産の越年草。茎は分枝し、高さ1020cm、1条の軟毛列がある。葉は卵形、長さ1~2cm、幅8~15mm、両面無毛、下部葉は長い柄があるが、上部葉は無柄。花期は3~9月。枝先に集散花序をつける。花柄は1側に毛列がある。萼片は5個、長さ3~4mm、背に毛がある。花弁は白色、2深裂し、萼片より少し短い。雄ずいは1~7個。花柱は3個。種子に半円球の低い突起がある。春の七草の1つで、小鳥のえさなどにする。日本全土、世界全体に分布する。

■『広辞苑』  繁縷 ナデシコ科の越年草。山野・路傍に自生、しばしば群生する。高さ1550センチメートル、下部は地に臥す。葉は広卵形で柔らかい。春、白色の小五弁花を開く。鳥餌または食用に供し、利尿剤ともする。春の七草の一つ。あさしらげ、はこべら。

■『大辞林』  繁縷 ナデシコ科の越年草。日当たりのよい草地・畑などに多い。茎の下部は地をはい、よく分枝する。葉は対生し、卵円形。4~10月。枝のつけ根に白色のごく小さな五弁花をつける。小鳥の餌とする。春の七草の一。ハコベラ、アサシラゲ。

■『国語大辞典』  繁縷 「はこべら」の変化 ナデシコ科の越年草。各地の路傍や休耕中の田畑や畔、園庭などにはびこる、代表的な雑草の一つ。高さ1030センチメートル。茎の下部は地表をはう。葉は対生し、楕円形または広卵形で長さ2~3センチメートル、下葉では短い柄がある。早春、集散花序を出し、白い小さな五弁花が多数開く。花弁は二深裂する。花後、巾着状の果実を下向きにつけ、種子を出したのち上むきになおる。春の七草の一つ。漢名、繁縷。はくべら

■『三省堂国語辞典』  いなかの道ばたに多い雑草。春、白い小さな花をひらく。やわらかで小鳥のえさにする。春の七草の一つ。はこべら

■『光村小学新国語辞典』  春の七草の一つ。道端などに生え、春、小さな白い花が咲く。鳥のえさにするが、食用にもなる。

■『くもんの学習国語辞典』  なでしこのなかまの草。道ばたなどに生え、高さ30センチメートルぐらいになり、春に白い小さな花が咲く。はこべら。春の七草の一つ。