今日は、孫が夏休みに取り組んだ、チョウの研究120ページほどの報告書を、A4で2枚にまとめる作業をしました。堺市の理科研究の集録用の原稿です。これは、孫にはちょっとできない作業なので、こちらで引き受けて仕上げることにしました。写真を入れる前の文字だけの原稿です。
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「チョウのひみつ発見!~昆虫の研究は未来につながる~」
○○小学校 3年 キツネノマゴ
1.研究の動機
幼稚園のころアゲハチョウの羽化を見たり、アオスジアゲハの卵を見つけたりしていた。去年はダンゴムシのことをくわしく調べた。今年は、学校の理科の授業で、モンシロチョウとアゲハチョウについて勉強したので、チョウのことをもっとくわしく知りたいと思った。
2.方法
自分の家と、じいちゃんの家で飼育観察を始めた。じいちゃんの家には、ミカンとヘンルーダの木がある。その木には、毎年アゲハチョウが卵を産みにくる。そして、今年は、モンシロチョウが卵を産みにくるように、プランターにキャベツの苗を植えて育てた。また、花壇に植えてあるビオラやスミレには、毎年ツマグロヒョウモンが卵を産みにくる。4月~5月になると、モンシロチョウとナミアゲハとツマグロヒョウモンが卵を産みにきた。卵や幼虫を見つけると、枝を切って水を入れたビンにさしたり、飼育ケースに入れたりして飼育観察をした。
ぼくの家では、飼育ケースをぼくの机の横のたなにおいて、毎日観察した。幼虫が大きくなって、枝から脱走しそうになると、大きな箱に移動させた。大きな箱の前に中が見えるように透明のシートをはった。
じいちゃんの家では、大きい飼育ケースに入れて階段に並べた。クーラーが当たりにくいし、下から一気にほぼ全部のケースが見えるから。一令幼虫や二令幼虫のときは、枝の下まで移動しないので、卵がついている枝は、ビンにさしているだけでも大丈夫。長い枝は、飼育ケースを横向きにして使った。
ツマグロヒョウモンのサナギは、あまり大きくないので、味付け海苔が入っていたプラスチックケースのふたにサナギのついている茎を切って、はった。
3.観察の項目と結果(写真)
①チョウの成長の観察(報告書2~4)
モンシロチョウ、ナミアゲハの成長
ジャコウアゲハ、ナガサキアゲハ、クロアゲハの成長
②幼虫の足の観察(報告書5)
③アオスジアゲハは寝る葉を決めている(報告書6~7)
落ちない葉のしくみ
④幼虫の脱皮や羽化の準備の観察(報告書8~11)
アナミアゲハ、オスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、ジャコウアゲハの羽化の準備
サナギの中の変化はどうなっているのか
⑤サナギが落ちないひみつの観察(報告書12~13)
お尻のかぎ針、糸張り
⑥幼虫の顔のカラを集める(報告書14)
⑦身を守るひみつの観察(報告書15~18)
臭覚くらべ、幼虫や蛹の色、
身を守る羽のしくみ
サナギの糸の強さ調べ
⑧チョウのフンと分解をするダンゴムシのはたらき(報告書19~20)
4.考察
●チョウの幼虫は、チョウの種類によって食草がちがう!
成虫(チョウ)はどのチョウも花の蜜(みつ)をすう。でも、モンシロチョウの幼虫は、キャベツを食べる。ナミアゲハ、ナガサキアゲハ、クロアゲハの幼虫は、ミカンやヘンルーダを食べていた。ジャコウアゲハの幼虫は、ウマノスズクサを食べていた。ツマグロヒョウモンの幼虫は、スミレやビオラやパンジーを食べていた。もし、みんなが同じ植物(しょくぶつ)ばかり食べていたらその植物はなくなる。幼虫が食草を変えていることは、いっせいに絶滅(ぜつめつ)しないのでいいことだ。生き物はすごい!!
●幼虫は、歩くところや、生活している葉が落ちないために、糸で固定していることが分かった。また、サナギが落ちないために、サナギのお尻には多くのかぎ針があり、壁に張った糸にからんでいた。マジックテープの仕組みのようだなと思った。
●ワラジムシたちが幼虫のフンのカビをふせぐ。ツマグロヒョウモンのフンはべちゃっとしているから、飼育ケースの中でフンにカビが生えた。家で飼育しているワラジムシたちをいっしょに飼育すると、カビが生えなくなった。幼虫の食べのこしたスミレも食べてくれた。だから、飼育ケースの掃除が楽になった。去年、ぼくが研究したダンゴムシやワラジムシは、落ち葉やかれたクズの葉やメダカの死んだのなどを食べて、土みたいなものを作った。ダンゴムシたちのフンはくさくなかったし、カビも生えなかった。ダンゴムシやワラジムシがいっぱいいたら、公園の落ち葉をそうじしなくてもいいかもしれない。土には、ダンゴムシやワラジムシ以外にも、ミミズやクモやゴミムシやクマムシやアリがいる。みんな、自然にあるものを食べて土を作ってくれている。
5,感想
●ざっ草や虫をやっつけるために薬をまくと、土の中の生き物が死んでしまい、いい土がなくなってしまう。じいちゃん家の近くの公園に、近所の人が、自分の家であまった除草剤(じょそうざい)をまいた。じいちゃんが草抜きをするのは、たいへんだろうと助けてくれたつもりだった。でも、その後、公園にはダンゴムシの死んだのがいっぱい転がっていたそうだ。ざっ草や虫をやっつけるために薬をまいたら、落ち葉や虫の死んだのを分解してくれる土の中のムシも死んでしまう。このことを多くの人に知ってほしい。
●アシナガバチは、チョウの幼虫をつれていくので嫌いだけど、農薬を使わなくてもきれいなキャベツが育つから農家の人には、いいハチだ。
●チョウの幼虫が農業にやくに立つ!チョウの幼虫が歩いた葉は、ハダニが80%歩かなかったとテレビ番組で見た。だから幼虫の足に何があるのかを研究しているらしい。だから幼虫の足跡にあるハダニをやっつけるものを作ると、土の中の生き物は守られる。その研究を京都大学でしているらしい。幼虫は役に立つと思う。
●アゲハの黒い卵を見つけて持って帰ったけど、2週間経ってもふ化しないことがあった。昆虫館の人に聞いたら、アゲハに寄生する小さいハチが卵を産んでいるのかもしれないということだった。幼虫がその葉を食べると、寄生バチの卵も食べて、寄生されてしまう。そのことから、幼虫をやっつけるために大量に薬をまくのではなく、寄生バチを増やす方法が考えられる。
●また、テレビ番組で、住友化学園芸という会社が、強い農薬の代わりに自然のものを使ったスプレーを作ったとしょうかいしていた。その自然のものとは、土の中の細菌だそうだ。土の中の細菌ならダンゴムシたちを死なせたりしない。このスプレーは、作物を食べる前ぎりぎりまで使える。ぼくの家で買ったキャベツから幼虫が出てきたことがある。それは、いいことだった。
●成虫のチョウは幼虫の食草がわかる!じいちゃん家の庭には、いろいろな植物がある。でも、ナミアゲハはヘンルーダに卵を産みにくる。人に見つかる危険な玄関ドアのところにヘンルーダがおいてあるのに、ドアのすぐ前まできて卵をうんでいる。どうして分かるのかな。チョウの体の中に受けつがれた情報があるからだろう。
●昆虫の研究は未来につながる!!!!昆虫(ムシ)を研究することは、いいことだ。昆虫の成長や活動のようすをずっと観察していると、自然界のいろいろなことに気づくことができる。ぼくは、チョウやダンゴムシのことを調べて、身を守る工夫や未来に役立つものが作られることがわかった。
6.参考文献
♫ 蘭(らん) ♫
