1Gのこぎつねが
理科を教えていない1年のこぎつねが、こぎつね研究室にやってきました。
「きつね先生ですか。」
「はい、そうよばれています。」
「このムシの名前を教えて下さい。」
と、ビニル袋にバッタを一匹入れています。
短い休み時間の隙間にやってきて、一緒に名前を調べました。
きつねTは図鑑を開きながら、
「たぶん、このショウリョウバッタのメスですね。昆虫の名前をこの紙に書いてあげましょう」
「ほんとうだ。いっしょだ。ありがとうございました。」
1Gのこぎつねは、名前を書いた紙を貼り付けた袋を持って、あわてて教室に帰っていきました。
そのこぎつねは、翌日にはまた、違った昆虫をもってやってきました。
6Gのこぎつねが放課後にフラッとやってくることもあります。
「石の標本を作ったのですが見てもらえますか。」
「重いのに、わざわざ見せにきてくれたんだ。ありがとう。どれどれ・・」
「ああ、この串本の七里ヶ浜は、きつねTも行ったことあるよ。写真も貼っていて、上手にまとめているね。石の名前は・・、これは泥岩で、この石は熊野酸性岩の仲間で、たぶん凝灰岩と、溶結凝灰岩です。この泥岩は、ちょっと火山灰がまじっているようですね。こちらの透き通っている白い石は、マグマが冷えるとき、最後にできる石英の部分だと思いますよ。」
と話しました。
「上手にまとめているので、感心したよ。」
「ありがとうございました。」
と、いいながら、重い標本を持って帰って行きました。
ほんの、5分ほどの会話でした。