コロナ不況によって、自殺者が累計14万~27万人増加する。

 京大の研究グループ「レジリエンス研究ユニット」(ユニット長・藤井聡教授)が4月30日、衝撃的な試算を発表した。試算によると、過去のデータから、実質GDP成長率が下落すると、失業者が増え、自殺者が増えるという相関関係が実証されている。そこで、コロナが1年後に終息する「楽観シナリオ」と2年後に終息する「悲観シナリオ」を検討した。

 民間の試算を参考に、コロナ禍による経済不況で、2020年度の実質GDPがマイナス14.2%になると想定。失業率が6.0~8.4%に達するピーク時には、年間自殺者は3万4449~3万9870人(2019年度比1万4280~1万9701人増)に上る。

 ピーク後は、景気が回復し、失業率も低下していくが、年間自殺者数が19年度の水準に戻るまで、19~27年間かかり、自殺者の増加数は累計14万~27万人になるというのだ。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/272701

 

失業率が6.0-8.4%というのは割とリアルな推計だと思う。そうすれば自殺者はおそらく3万人を超え、昨年よりも1万人以上増える。ただ本当に元の2019年の水準に戻るまで19-27年もかかるのか、このあたりは不透明。

 

そうは言うものの経済を優先して、自粛がゆるやかなスウェーデン方式にしたら、おそらく季節性インフルエンザと同等の死者数の増加、すなわち約1万人以上が新型コロナウイルスで死ぬだろう。コロナウイルスの死者は圧倒的に老人だ。

日本の年齢別の新型コロナウイルスによる死者数と重症者数のグラフ

日本の年齢別の新型コロナウイルスによる死者数と重症者数のグラフ
 

すなわちこの問題の焦点は、老人が新型コロナウイルスで死ぬか労働者がコロナ不況の経済苦で自殺するかどちらを選ぶかという究極の選択を我々に迫っている事だ。入院した人の院内トリアージなら当然若い労働者が優先されるだろうが、老人は団塊の世代を中心に人数が多く圧倒的に票を持っているので、政治家は老人の言う事を聞く。若者もそれなりに居るのだが、選挙に行かないのだ。https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2018np/index.html

非常事態宣言がなかなか解除されないのもこのあたりが原因だろと思う。

 

そしておそらく最も望ましい解決策は、老人は自粛を続けさせ、若者を中心に徐々に自粛を解除していくことだろう。老人が安心の年金を貰えるのも労働者が年金保険料を払ってくれているからだという説明がなされていくと思う。しかし大変困ったことに、年齢別に見た貯蓄の平均値は、20歳代183万円、30歳代415万円、40歳代614万円、50歳代1,124万円、60歳代1,765万円、70歳以上1598万円となっている。

https://money-goround.jp/article/2015/09/18/630.html

今の日本でお金を持っているのは圧倒的に老人で、老人が店でお金を使ってくれない事には経済は回復していかないのだ。