【本文】
引き続き、今回も、縁もゆかりもない(に等しい)自治体の面接試験のために、志望理由を構成していく場合の手法についてです。
②当該自治体の方針・政策について
従来縁もゆかりもなかった自治体への志望理由として、当該自治体の政策に携わりたいとか、当該自治体の方針に共感して、というものがあります。
前回の①地域との結びつきよりも、調べやすい、まとめやすいことから、これを端緒とする方はむしろ多数派と思います。
できれば地域との結びつきと両輪のほうがいいですが、こちらを主とした構成ももちろん多く見られます。
その際に留意したほうがいいことは、まず、①地域との結びつき中心の構成の場合と同じく、公務員の志望理由がしっかりしていることです。
その上で、特に市役所試験の場合、あまり特定の行政分野・政策に絞り過ぎないことが重要と思います。
最低限、面接官に、それしかやりたくない、と思われないようにする必要があります。
採用する人事側が恐れる短期離職の主な理由の一つとして、「不本意な部署に配属され、やりたくない職務を担当するのが嫌だ」ということが挙げられるでしょう。※1
そして、短期で様々な部署をジョブ・ローテーションするという市役所の人事体系を前提とすると、面接時点でやりたい仕事の幅が広い方が短期退職のリスクは低くなります。
なにしろ、「異動の希望は通らないのが当たり前」という境地に達するのは、現職でも3回程度は異動を経験した方でしょうから、上記理由の離職は初配属か1・2回目の異動時に生じやすいでしょうからね。
やりたい仕事として特定の行政分野を挙げる場合、もちろん優先順位はあっていいですが、複数分野を挙げるのが基本と思います。
その際、一般論としては、やりたい理由付けとして、大学の専攻・知識やサークル・ボランティア経験が活用しやすいからといった理由の方が、あまりに重い理由よりは無難かと思います。
これは公務員の志望理由・転職理由とも関わってきますが、自身の失業経験を理由に雇用政策とか、家族の介護体験を理由に福祉政策とかいったちょっと他人が口を出しにくい重い理由がある場合は、もちろんそれ自体は希望して構いませんが、必ず他のやりたい行政分野も挙げられるようにしておきましょう。
また、自治体の方針や特徴ある個別政策に共感して、という場合は、ESや面接での表現が大袈裟になり過ぎないように注意しましょう。
縁もゆかりもない自治体で、ほかにネタがないとやりがちです。
方針ならそれを反映した具体的政策、個別政策ならその成果など、具体的知識・データをもって語ると、印象が堅実になるでしょう。
もちろん、現職の職員としては、そういった自治体の方針に従う必要がありますから、これらへの積極的なコミットは一般論としては歓迎されるでしょう。
ただし、あまりに持ち上げすぎて、「それしか興味がない」と思われるのはやはり問題です。
また、長期にわたる勤務の間には、自治体の方針にせよ、特徴ある個別政策にせよ、変更される可能性があります。
自治基本条例で当該自治体の基本原則として明記されているような、ある程度政権交代を超えた普遍性を賦与されている場合は別として、特に、それらが首長の選挙マニフェスト等に基づく場合などは、首長の交代によってガラリと変更される可能性もなくはありません。
そうなっても、自治体職員として一定のモチベーションの下に勤務を継続できるか、面接の段階が上がり、面接官が幹部職員になるほど、口には出さなくとも頭の隅で気にしてはいるかもしれません。※2
以上、今後の市役所面接試験の志望理由を構成する際、参考になればと思います。
このテーマは今回で一応完結とします。
※1 もう1つの主な理由は「人間関係のこじれ」でしょうが、これは志望理由とはあまり関係ないので、今回は言及しません。ただし、面接の場では、おそらく人間関係形成・維持能力について志望理由以上に厳しく吟味されることになるでしょう。
※2 もちろん、面接官が市長・副市長のような政治任用の特別職の方である場合は別です。こういった立場の方が、自分がいなくなった後にも我が存在の痕跡ををガッチリ残すやり方ではなく、その痕跡を消滅させていくという寂びた出処進退を示すのは、優曇華の花の如く稀有な例といわなければならないでしょう。
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