大型連休まもなく終了。旧朝吹山荘「睡鳩荘」で「女流博物画家 メーリアンの世界展」開催中。 | 軽井沢高原文庫

大型連休まもなく終了。旧朝吹山荘「睡鳩荘」で「女流博物画家 メーリアンの世界展」開催中。

 大型連休はまもなく終わりを迎えようとしています。全国的におおむね好天だったようで、何よりでした。皆さまはいかがお過ごしでしたか。

 私はほぼ全日、勤務でした。忙しいことを言い訳にして、本欄もサボってしまいました。

 ところで、きのう、旧朝吹山荘「睡鳩荘」で開かれている「女流博物画家 メーリアンの世界展」を見学に、メーリアン著『スリナム産昆虫変態図譜 1726年版』の原本所有者の白石雄治氏が奥様といらっしゃいました。

 「300年以上も昔、50歳を過ぎた女性が、自分の夢を実現させるために、オランダのアムステルダムから、僅か全長25メートルほどの木の船で、約2か月かかって、南米のスリナムに向け大西洋を渡ったのですから、すごいことですよね」と、白石さんは熱っぽく私に語られました。白石さんの顔が、一瞬、かつてそうだったという昆虫少年の顔に<変態>した瞬間でした。

 「女流博物画家 メーリアンの世界展」は、白石さん所有の原本に限りなく近い図版に日本語訳・英訳を付して鳥影社から近く刊行される書物(岡田朝雄・奥本大三郎訳、白石雄治製作総指揮)から、私の知人の新部公亮さんの紹介により鳥影社から35点をお借りして展示したものです。  

 ドイツ文学者の岡田朝雄氏によれば、メーリアン著『スリナム産昆虫変態図譜』は3回刊行されていて、1705年の初版は日本で存在が確認されておらず、1719年刊行の第二版は国立国会図書館が所蔵、そして1726年の第三版は東京国立博物館に1部所蔵されているほか、荒俣宏氏が1部、白石さんが1部所有しておられるとのことです(「未定」26、2021.10/岡田朝雄「東西の『虫愛づる姫君』」)。

 某会社会長の白石さんはこの数十年間、西洋の博物学の文献等を収集されていて、コレクションの中で「メーリアンの『スリナム産昆虫変態図譜』は最高峰だと思います」と高く評価されている様子でした。

 余談ですが、奇しくも、私が見学順路の最初に飾った作品が、白石さんがメーリアンの中で最もすばらしいと感じていた絵であり(白石さんの名刺にもこの作品が印刷されています)、最後に飾った作品が、白石さんがオークションで初めてメーリアン作品を購入した記念すべき絵とうかがい、内心、驚きました。そうした経緯をまったく知らず、4部屋に約8~9点ずつ選び、直観で並べていったからです。 

 白石さんは、見学に訪れたお客様にも気軽に説明をされるほどサービス精神旺盛で、ここにその様子を1枚、載せさせていただきます。

 白石さんは南米に博物館をつくって寄贈なさったりもされているようで、とても面白い方です。 (大藤 記)