中村真一郎『文章読本』
いま、中村真一郎『文章読本』を読んでいます。最近、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、中村真一郎といった各氏の『文章読本』をまとめて書棚から取り出しておいて、まず手に取ったのが本書でした。
本書は、全体を、口語文の「成立」「完成」「進展」「改革」の4部で構成されています。
筆者は、近代口語文の完成は、考える文章と感じる文章との統一であり、したがってその完成の有資格者は学者であると同時に作家でもある人が適当であった、と指摘しています。そうして、結果的に、明治から大正 のはじめにかけて、口語文を完成させたのは、森鴎外、夏目漱石、幸田露伴3人であったと述べています。
かつて井上ひさし氏は、本書を「卓見がちりばめられている」と評し、「なかでも、鴎外の、漱石の、そして露伴のあの文体がどのようにして成ったかを、『文章の土台、苗床』という鍵言葉を駆使して大胆かつ細心に追跡してゆく件(くだり)は圧巻である」と書かれています。 (大藤 記)