沓掛良彦『耽酒妄言』 | 軽井沢高原文庫

沓掛良彦『耽酒妄言』

 昨日、沓掛良彦『耽酒妄言』(2020年4月、平凡社)を制作元の広島の大和プレスよりご恵贈賜りました。サブタイトルは「枯骨閑人文酒閑話」とあります。枯骨(ここつ)閑人とは筆者の戯号とのこと。

 沓掛良彦氏は『黄金の竪琴:沓掛良彦訳詩選』(読売文学賞)やエラスムス『痴愚神礼讃:ラテン語原典訳』などの著作のある西洋古典文学者。東京外国語大学名誉教授。

 本書はエッセイ集であり、「人」「本」「酒」「耄碌漫語」の4部で構成されています。けさ、私は巻頭の「文人学者・富士川英郎」を読んで、読書のよろこびに満たされて、仕事場に出てきました。

 沓掛氏は、ドイツ文学者の富士川英郎さんについて、富士川さんのような「一流の学者にして同時に文雅の風を備えた、文学者と呼ぶに足る「文人学者」はまずいない」と書かれていました。

 私のなかでは、富士川さんはリルケを介して堀辰雄さんと結びつく人物であり、沓掛氏は西洋古典を介して中村真一郎前館長と結びつく人物です。

 なお、本書の最後に、「軽井沢高原文庫通信」第74号(2009.11)に沓掛氏がご執筆くださった「「沓掛」という地名と姓」がそっと置かれています。 (大藤 記)