2019「山ろく清談」読了(村山斉、池澤夏樹、岩井克人)
信濃毎日新聞が毎年7月から8月にかけ掲載しているインタビュー記事「山ろく清談」をきのう、読了しました。毎年、20人前後のさまざまな分野の方が登場するこの連載は、信州では夏の風物詩のひとつと言ってよいでしょう。私は体調不良などもあり4か月ほど遅れですが、ようやくまとめて読みました。印象に残った方のお話を一部ですが、ご紹介します。
村山斉さん(物理学者)は、宇宙が私たちと別物でなく、私たち自身が「星のかけら」でできていることをわかりやすく説明してくれます。村山さんによれば、宇宙にある全てのエネルギーの27%を占める「暗黒物質」と、68%といわれる「暗黒エネルギー」」の正体はまだ誰も知らず、私たちが知っている、かつて「万物のもと」とされた原子の割合はわずか5%にすぎないのだそう。しかし、近年の電波などによる新たな観測技術、理論の進歩、データを大量解析するコンピュータが出そろったことで、謎の解明は遠くないかもしれません、と明るく話されていました。
池澤夏樹さん(作家)は、「戦争の記憶の風化以上に、現代に生きる人々の「想像力」が乏しくなってきていることに危機感を覚えます」と作家ならではの鋭敏な感覚で現在をとらえていらっしゃいました。「想像力を豊かにするには、広く世界や歴史に目を向けることが大切です」とも。
岩井克人さん(経済学者)は、「資本主義は危機にひんしています」とし、「私は最後の仕事として、資本主義にも国家にも組み込まれない、「信任」を足掛かりにした「市民社会論」を打ち出したいと考えています。例えば社会問題を解決しながら利益を出す社会的起業家。こうした存在に可能性を感じています」 と話されていました。 (大藤 記)