エントロピー増大の法則
福岡伸一さんのコラム「福岡伸一の動的平衡」が、この年の瀬に連続でエントロピー増大の法則を取り上げています(朝日・毎木掲載)。これは福岡さんにしては珍しいこと。
エントロピーとは乱雑さのこと。秩序あるものは無秩序になる方向にしか進まない。これがエントロピー増大の法則。
ピラミッドのような大建築も年月とともに風化し、砂粒に戻っていく。整理整頓したはずの机もたちまち散らかり、淹(い)れたてのコーヒーもすぐにぬるくなる。熱烈な恋愛もまたたく間に冷める。
しかし、福岡さんによれば、生命は絶えずエントロピー増大の法則にあらがい、エントロピーの低い状態を維持し続けているのだそう(物理学者シュレーデインガー『生命とは何か』)。
生命はそれをどのように実現しているか。生命は絶えず自らを分解しながら作り直している。生命はあえて先回りして自らを壊すことによってエントロピーを捨て続け、その流れの中に自らを置くことで、生命は生命たりえているのだそう(生化学者シェーンハイマーの指摘)。 (大藤 記)