和田知子『遠い思い出 室生犀星のこと』
最近、和田知子さんという東京在住の女性から、私家版『遠い思い出 室生犀星のこと』 (2017.8.1、龜鳴屋、限定百部)という瀟洒な本を送っていただきました。なにげなく読み出すうち、ぐんぐんひきこまれてしまいました。
そこには、室生犀星に晩年十年間、秘めた「女ひと」の存在があったこと、犀星が虎の門病院で死去する直前の様子などが、そばにいた当事者の一人の回想として、詳細に綴られていました。
和田さんは昭和33年10月から昭和44年7月まで、中央公論社出版部勤務。室生犀星『わが愛する詩人の伝記』『火の魚』『生きたきものを』『女流作家評伝 黄金の針』『春あはれ』を担当なさったとのこと。
磨きぬかれた玉のような文章。和田さんは中央公論社退社後、十代半ばから始めていた俳句に専心。飯田蛇笏、飯田龍太に師事。
今年は室生犀星没後55年。犀星に関する貴重な一書がまた世に出ました。 (大藤 記)