文化財保存
さまざまな職業があるものです。文化財保存、とりわけ臨床保存の専門家である神庭信幸氏の連載コラムを読んでいて、あらためてそう思いました(日経文化「よみがえる実像十選」)。その中に、ちょうどいま、私が展示替えの中で扱っている遠藤周作「沈黙」と加賀乙彦「殉教者」に描かれた時代と同時期の絵画「聖フランシスコ・ザヴィエル像」(神戸市立博物館蔵)と「紙本着色聖母子十五玄義・聖体秘跡図」(京都大学総合博物館蔵)が紹介されていました。ともに江戸初期、17世紀前半の作。前者は1920年、大阪・茨木市の東藤嗣氏宅に伝わる「開けずの櫃(ひつ)」から、後者は1939年、大阪の原田一吉氏宅の屋根裏から、そ れぞれ発見されたそう。400年ほど前の美術と、現代文学が、長い時を超えて、私のなかで偶然にも、響きあっています。文章を読むことで得られる不思議な体験。