立花隆『武満徹・音楽創造への旅』 | 軽井沢高原文庫

立花隆『武満徹・音楽創造への旅』

立花隆『武満徹・音楽創造への旅』(2016.2.20、文藝春秋)を数日前から読んでいます。上下2段組で、800ページ近い大著。まだ3分の1ほどしか読んでいませんが、誠に興味深い内容です。100時間くらいの武満本人へのインタビューを、筆者が武満の知人友人らの話や、人の流れや時の流れなど時代背景も補いながら、整理してまとめたもの。本書は武満徹という人物を知るには格好の手引きとなるでしょう。これを読むと、武満徹の純粋音楽をもっときちんと聞かなければいけないなという気持ちになりました。私も、もう20年以上前、このインタビューが「文学界」に連載されていた当時、いずれ一本にまとめられたら読もうと思って、ほとんど読んでいませんでした。しかし、武満が20年ほど前に突然、死去。その死にあまりの衝撃を受けた立花氏は、その後これをまとめることができず、放置したまま、20年が経過。それを一気に3週間ほどで刊行までこぎつける原動力となったのが、立花氏が愛したある女性の死であったことが、本書の「おわりに」に明かされています。これは本筋とは離れますが、私も人知では推しはかれない不可思議なものをそこに感じました。なお、ついでながら、旧知の音楽学者、小野光子さんの『武満徹 ある作曲家の肖像』(2016.9.10、音楽之友社)も昨秋、刊行され、こちらも450ページほどの大変な労作。この書物も隣りにおいて、二書を読み進めています。