『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』 | 軽井沢高原文庫

『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』

先日、『磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義』(六耀社)という新刊を磯崎新氏からお送りいただき、少し時間がとれましたので、この二日ほどかけ、ほぼ読了しました。私は門外漢なので、おそらく十分の一も理解できていないと思いますが、要するに、本書は、建築界において、これまで語られることのなかった日本のモダニズムの<戦前から戦後の流れ>を、相当意識的に辿ろうとした、もっといえば、戦時下で隠されていたものをもさがしだし、日本のモダニズムの成立過程を明らかにしようとした対談のようです。その核心をつかむために、ここでは8人の人物が、俎上にあげられています。アメリカと深く関係したアントニン・レーモンドと吉村順三、前川國男と坂倉準三という二人のフランス派、戦前にドイツに渡った白井晟一と山口文象、最後に戦後1950年代初頭に渡航し、「国際建築」としてのモダニズムを介して自己形成した大江宏と吉阪隆正です。私は個人的に、アントニン・レーモンド、吉村順三、前川國男、坂倉準三、白井晟一、山口文象、大江宏、吉阪隆正の章を面白く読みました。あっ、これは全員でした。(以前から、多少関心を持っていた白井晟一の裏のエピソードも興味深かったですし、これまで知識の少なかった大江宏と吉阪隆正という人物にも興味がわきました。ちなみに、私の貧しい知識でも、山口文象、吉阪隆正をのぞくほぼすべての人物が軽井沢と深い関わりをもっているのには驚きました。)