田渕俊夫氏「金の不変 銀のうつろい」
日経連載のコラム、田渕俊夫氏「金の不変 銀のうつろい 十選」が本日をもって終了しました。田渕氏は日本画家。金銀を箔にする技術に特に優れた日本は、不変に輝く金箔と黒変する銀箔の性質を巧みに取り入れて美術品を作ってきました。そうした作品を実作者の立場から選び、綴ったこのコラムは、私たちの通り一編の美術鑑賞では知りえないことを教えてくれます。たとえば「普賢菩薩像」(国宝・東博蔵)の絵の上に、金箔を細く切って描く截金(きりがね)の技法で精緻な模様が施されていることや、尾形光琳「紅白梅図屏風」(国宝・MOA蔵)の絵の中央の川の流れ全 体に銀箔が埋められ、一部は銀の変色を防ぐドーサ(膠水に明礬を加えたもの)で描かれ、それ以外は変色させていることなど。私はこれを読んで、田渕氏が今回、選んだ「扇面法華経冊子」、長谷川等伯「楓図壁貼付」、酒井抱一「秋草鶉図」、狩野芳崖「悲母観音」、今村紫紅「熱国之巻 暮之巻」、加山又造「華扇屏風」、吉田善彦「大仏殿春雪」、江里佐代子「截金彩色筥 天眼窓」を、実際にこの目で見たくなりました。