木島始さん | 軽井沢高原文庫

木島始さん

軽井沢は昨日も今日も、風が強く、上空は雲が流れ、大樹も風により時折、枝を大きく揺らしています。木が揺れるとき、音をたてるのをご存知ですか? 毎日が静かに流れています。この時期になると、もう少し時間がとれるかと思うと、仕事が次々にあらわれ、なかなか好きな本を読むこともできません。最近も、ノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアノの『暗いブティック通り』(平岡篤頼訳)やクロード・シモン『アカシア』(同)を平岡不二子氏から頂戴したり、清水茂氏からは大著『イヌ・ボヌフォワとともに』をお送りいただきましたが、それらも含め、まだほとんどに手がつきません。なお、きのうは、詩人で英米文学者の故木島始氏の奥様から久しぶりにお電話をいただき、電話口の向こうにその懐かしいお声をお聞きしました。木島さんは黒人文学やジャズ評論の紹介なども行っていますが、私は絵本や詩集、エッセイ集などを多くいただきましたので、そちらのほうでもっぱら親しんでいます。絵本『はなをくんくん』が売れに売れ、追分に山荘を建てた、とご本人から昔、うかがったような気もしますが、私が勝手にそう思い込んでいるだけかもしれません。京都のご出身、じつに温かいお人柄の方でした。