なだいなだ『常識哲学』 | 軽井沢高原文庫

なだいなだ『常識哲学』

故・なだいなだ氏の『常識哲学』(2014.5.20、筑摩書房刊)が刊行されました。数年前、「ずっと気になっているテーマをまとめたい」という本人からの意思表示が本書成立の発端とのこと。しかし、残念ながら昨年6月6日、死去。83歳。まもなくちょうど1年を迎えようとしています。本書はなだ氏の最後のメッセージであると言ってよいでしょう。「臨床医の哲学」「常識哲学」「常識で考えよう」「常識があれば、みんな平和を求めます」の4篇を収録。「臨床医の哲学」は亡くなる前年に精神科医の集まりで語ったもの。「常識があれば…」は亡くなる5日前、日仏医学会で話したもの。なだ氏は後者の中で「『なるほど、常識という言葉があったんだなぁ』と思う若い人がいたら、ぜひ広めてください」と話されています。なださんについて、内橋克人氏は「専門家の知ではなく、人々の磨き上げられた「常識」こそが人間を解放する。そんな信念を持った人でした。」と述べられていました。そうであったろうと、私も感じています。ところで、先日、なだ氏のお宅へうかがった際、ルネ・ラガッシュ夫人が私にこの本について、「主人がずっと考えてきたようなことが、この本に集約されていると思いますよ」と話されたのが印象に残りました。本書の編集の労をとられたのは筑摩書房編集部の金井ゆり子さん。これはなだ氏の遺言のようなもの、と受け取って、静かに、ゆっくりと拝読したいと思います。