ガルシア・マルケス氏死去 | 軽井沢高原文庫

ガルシア・マルケス氏死去

世界的なラテンアメリカ文学ブームの中心だったガルシア・マルケス氏が先日、死去されました。87歳。ノーベル文学賞を受賞したコロンビア人作家。「百年の孤独」は奇想天外な事件や大洪水に錬金術など神秘的な事件が起こる村マコンドを舞台に、ある一族の歴史を描いた神話的物語。ラテンアメリカ文学の木村栄一氏は「小説から物語の手法が消えつつある20世紀後半の先進国に、物語を復権させた」と新聞に語っています。私はあまり作品を読んでいませんでしたが、今回、長年交流を続けてきたという詩人田村さと子さんの追悼文を読み、マルケスが「私の中にはワユーという辞書がある」とマルケスが言及する南米大陸の北端、グアヒラ半島の先住民ワユーが住む地域のことを知り、再び興味を持ちました。この地域出身の祖父母は移り住んだ先にもこの文化を移植したのだそう。だからマルケスが生まれ育った祖父母の家では呪術や夢を読んだりワユーの文化が生活の一部となっていたというのです。故郷の町アラカタカ、水路でしかたどりつけない村スクレ、都会のカルタヘナまで、マルケスが父親に率いられ、家族と転々としたカリブ海地方は、現在も首都のあるボゴタから隔絶されている島的地域で、公的な文化から疎外されたままアフリカ系住民や先住民たちが暮らしているのだそうです。「この地域の遅れこそが私たちの力で、現実の力の壁を食い破り世界を動かす決定的なエネルギーなのだ」とマルケスは語っているとのこと。(田村さと子さん追悼文は「日経」2014.4.22)