石井桃子『新しいおとな』 | 軽井沢高原文庫

石井桃子『新しいおとな』

石井桃子『新しいおとな』が発刊されました(河出書房新社、2014.3.30)。単行本未収録の文章を中心に集めた『家と庭と犬とねこ』『みがけば光る』『プーと私』に続く第4弾。私は今回も、私自身惹かれたタイトルから読み始めています。「河野与一先生のこと」「あたたかいひと」は岩波書店関係者の思い出、「『いやいやえん』誕生のころ」は中川李枝子さん山脇百合子さんとの出会い、「私の「嵐が丘」」も興味深く読みました。どれを読んでも一貫して石井さんらしさを感じるのは、読んでいて心地よいものです。石井さんは若い頃から変らない、芯の一本、通ったものがあるようです。新聞・雑誌など埋もれた中からこれらを探し出し、テーマごとに配列する編集作業は、私も似た経験がありますが、時間もかかるし、多くの労力を要します。今回もその労をとられた旧知の大西香織さん、「文藝」編集部の渡辺真実子さんにご苦労さまと申し上げたいと思います。なお、最後に置かれた「三ツ子の魂」は短いながら、石井さんが亡くなる1年前、100歳の時の文章で、最後を飾るにふさわしい、味わい深いものと感じ入りました。なお、石井さんは軽井沢追分に夏の山小屋をもっておられましたので、非常に身近に感じるものがあります。文庫の通信にも随筆を寄せていただきましたし、私が毎年制作にかかわっていた深沢紅子野の花カレンダーも、秋になると石井さんからお手紙が届き、「若い友人にさしあげたいので」と、15部とか20部、大量に注文をしてこられるのでした。私はそのつど、これは中川李枝子さんたちのお手元に届くのだろうな、と楽しく想像したものでした。