井上ひさし『ボローニャ紀行』
先月、たまたま購入した井上ひさし『ボローニャ紀行』(文春文庫)を就寝前にパラパラ読んでいますが、実に楽しいし、考えさせられる一冊です。これは故井上ひさしさんが2週間、イタリアのボローニャを旅した記録。ボローニャが世界に誇る映画の保存と修復の複合施設「チネテカ」のこと、ボローニャ産業博物館の地元専門学校との連携など、私たちが参考にできる点が実に多い。人口39万人のボローニャは文化による街の再生を集中的に行い、1970年代に「ボローニャ」方式として世界中に喧伝されたとのこと。その成果を認めたヨーロッパ共同体は、この街を2000年の「ヨーロッパ文化都市 」に指定。…30年間、井上さんがあこがれ続けていた街というだけあって、予備知識も豊富だし、さすがに深いところを見ています。私はもう20年ほど前、一度だけこの街に足を踏み入れたことがありましたが、その時持参したのはゲーテ『イタリア紀行』。ゲーテが登ったボローニャにそびえる塔に私も登りました。数百段の階段を登り、眼下に広がるボローニの街を眺めた時の爽快感とすばらしさ。それと、街中にたくさんある回廊を靴音をたてながら歩き回ったことを、懐かしく思い出します。