佐久市立近代美術館、特別展「平山郁夫―仏教伝来」
最近、佐久市立近代美術館で開かれている開館30周年記念展「平山郁夫―仏教伝来」を見ました。平山郁夫氏は日本画家、元東京芸大学長として著名な方。「仏教伝来」は平山氏の出世作であり、同館所蔵。今回、平山氏が9歳、10歳頃の作品(平山郁夫シルクロード美術館所蔵)に始まり、美術学校時代および卒業後の作品(広島県立美術館や茨城県立美術館蔵)などを経て、晩年の風景大作までの、平山氏の生涯にわたる作品を数は多くありませんが見ることができ、「仏教伝来」の頃に平山さんに大きな画業の転機があったことを確信しました。その 転機直後の作品、たとえば佐川美術館から出ている3点(いずれもすぐれた作品)などを見ても、それまでと別次元の世界観が表現されているようです。展覧会がもたらすプラスの側面のひとつはこのように、通覧性があることだとわたしはかねがね思っています。今回も、何度も目にしていた「仏教伝来」が、氏の画業全体の中に置くことによって初めて、その作品の意味を見出すことができたのです。氏の35歳ごろのこと。私はあまり詳しくありませんが、氏が仏教やシルクロード、釈迦などに興味をもたれたのは広島での被爆体験が遠く影響しているのではないかと感じました。一方、晩年に近い「奥入瀬渓谷」を見ると、宗教臭が消えており、大自然のなかにあることを感じるばかりです。