なだいなだ氏、ご逝去 | 軽井沢高原文庫

なだいなだ氏、ご逝去

作家のなだいなだ氏がご逝去されました。83歳。昨年7月28日、高原文庫の会で、北杜夫展の関連イベントとして斎藤由香さんと北さんの思い出を語っていただく対談に出ていただきました。昨夏はまた、雑誌「高原文庫」27号にも慶応病院医局時代の思い出を書いていただきもしました。誠に残念でなりません。がんを患っていることを承知で対談をお願いした電話でも、いいですよ、やりますよ、と由香さんとの対談を即座に引き受けてくださいました。「高原文庫」原稿はフランスからメールで送られてきました。昨年8月、中軽井沢の山荘から電話をいただき、フランスにいる娘が軽井沢にきたので、これからそちらへうかがいます、とのこと。しばらくして、フランス人の奥様とお嬢さんの3人でいらっしゃいました。北杜夫展をかなり長いこと、2階展示室を行ったり来たりされ、ご覧になっていました。なだ氏とのやりとりは昨夏に限らず、何度かありますが、いつも温かい方でした。11年前の文庫での講演の際、三好達治のある詩を探しているとのことで、早速詩集をお渡ししたら、講演の中でさすが高原文庫、と力をこめ、話されていました。みずから「こころ医者」と称していました。アルコール依存症の専門家でもありました。私とのふたりのとき、フランスと日本を行ったり来たりですかとの問いに、 フランスと日本を行ったりしたりしていないと小説が書けないんですよ、と笑っていました。あの独自の柔らかな思考、感覚、明るいユーモアはそうしたところからも来るのでしょうか。北杜夫氏宛のなだ氏の葉書の出だし、「まず忘れないうちに、このあいだの(   )ありがとう…」といった書き方は、なだ氏の人柄がそのまま現れていると思います。謹んでお悔やみ申し上げます。