池田良二「境界に佇む銅版画十選」
池田良二「境界に佇む銅版画十選」が5回を過ぎました(日経文化欄)。私は個人的に、この連載を興味をもって見守っています。筆者は1988年~1994年まで(立原道造展から野上弥生子展まで)当館の夏季特別展ポスターを作っていただいた銅版画家・武蔵野美術大学教授。このポスターのために毎回、池田氏は新作を作ってくださっていたのでした。古代文明からの長い歴史をもつ銅という素材。腐食銅板は、酸という危険な物質を用いる技法。池田氏がこれまで選んだのは、司馬江漢、岸田劉生、駒井哲郎、アントニ・タピエス、浜田知明。銅版画という一見、地味にみえる作品世界の、奥 深さ。深い余韻。池田氏の解説からその一端を感じ取ることができます。以下、余談。以前、浜田知明氏が孫娘と軽井沢を訪れた際、私はお二人をあちこちご案内したことがありました。浜田氏は脇田美術館で、信楽焼の巨大な陶板作品を前に、脇田和氏の説明に静かに耳を傾けておられました。95歳で今も故郷熊本に元気でお過ごしと池田氏は書いていて、懐かしく思いました。