北杜夫『壮年茂吉』 | 軽井沢高原文庫

北杜夫『壮年茂吉』

北杜夫『壮年茂吉』を読み終えました。茂吉四部作の第二作。茂吉の歌集でいえば「つゆじも」から「ともしび」まで。茂吉36歳~47歳まで、つまり大正6年~昭和3年までで、長崎医学専門学校教授、ドイツ留学、青山脳病院焼失後の再建など茂吉の人生にとって大きな出来事があり、多難に満ちた時代。北さんの筆は『青年茂吉』に時折見えた生硬さと不安定さが消え、俄然筆が自在になり、リズムも乗ってきているのに驚きました。この時期、つまり昭和2年に北さんは茂吉の次男としてこの世に生を受けたわけです。またこの時期、茂吉は散文に力を入れるようになり、「ドナウ源流行」はじめすぐれた滞欧随筆は多くがこの頃の産。私は書架から長い間手にとらなかった岩波文庫『赤光』『歌集』『随筆集』『歌論集』4冊の埃を払い、鞄に移しました。晩年の芥川龍之介に薬を処方していたのは斎藤茂吉でした。