水上勉『越前竹人形』 | 軽井沢高原文庫

水上勉『越前竹人形』

先日、本屋さんで偶然、水上勉『越前竹人形』を見つけ、これもご縁と思い、すぐに購入、きのう読み終えました。若州一滴文庫版。しかも著者のサイン入り。私は水上氏とは数回の出会いとすれ違いがありますが、それはここでは述べません。『越前竹人形』はかつて、谷崎潤一郎評を読んで以来、いつかは読まなければならない書と思っていました。いずれにせよ、この作品は深い感動を与える名作です。舞台は越前(福井県)の山間部の竹神部落と京都。主人公は人形師氏家喜助で話が進むものの、途中からその妻・玉枝に替わります。谷崎さんはこの作品は17章で全編の終了とし、以降は省いた方が余韻が残らないだろうか、とたしか具体的注文をつけていました。つまり、舞台を越前→京都→越前とせず、越前→京都で終わりにするということ。しかし私は思うのです。若狭出身の水上勉氏にとって、最後を竹神部落で終らせたかったにちがいないと。