2019年12月のベルリン・フィル以来かもしれない。
コンサートホールで、生演奏。
・・・ここまでの道のりは長かった
ロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールで2019年に1,2位を日本人が
ダブル受賞という快挙を遂げた。
当初4月に開催されるはずの、ガラ・コンサートが、緊急事態宣言を受けて急遽中止。
会場も、指揮者も変更となり、厳しい再開の船出というストーリー。
主催者の想いの強さを改めて感じるし、僅かでも仕事で協力できたことが嬉しい。
さて、曲目は、第2位の務川さんによるサン=サーンスの《ピアノ協奏曲第5番》
私にとっては同じサン=サーンスの《ピアノ協奏曲第2番》と同じくらいお気に入り。
エキゾチックで色彩感あふれる作品であるけれど、務川さんの弾くピアノは色気というか、
艶っぽさがあって、見た目雰囲気とのギャップに少々衝撃を受ける。
続く、三浦さんはショパンの《ピアノ協奏曲第2番》。
今年中止になったショパン国際ピアノコンクールの定番といえば《第1番》で、
《第2番》では優勝は出来ない、というジンクスまであるほど。
それは《第1番》に比べると、全体的に地味なので、
地味に弾いちゃうとそのまま終わってしまうのがこの曲の難しいところ。
それがそういうジンクスを生むのかもしれない。
三浦さんのピアノは哲学者がピアノを奏でる印象。
自らに問いかけ、向かいあって、音を辿っていくような感じ。
だから、最初は一瞬、地味な感じに聴こえたのだけど、(特に第1楽章)
第2楽章を聴くと、その響きがさらに哲学的な色彩を帯び、繊細さと柔らかを備え、
繰り返し繰り返し耳元で語りかけてくるような、本を1ページ1ページめくって
いくような、感じ。
後半のモーツァルトは、リラックスした雰囲気の中で、お互いが楽しく弾きたいという
気持ちが全面伝わってきた。
ただ、これは言っても仕方がないのだけれども、オーチャードのあの大きなホールは
モーツァルトには広すぎ、大きすぎ。
また今回、指揮者、ピアニスト、管楽器以外は、すべてマスク着用。
思った以上に、奏者同士は近い感じがした。色々と飛沫実験などの映像を
見ていると、すごーく離れている印象で、そんなに離れると音の聴こえ方とか
どうなっちゃうだろうと思っていたのだけど、今日のはおよそ1.3倍ぐらいの間隔で
座っている印象で、違和感はなし。
会場は定員のおよそ半分。ブラボーは禁止。座席には事前にアンケートが置かれていて、
自分がどこに座ったかを書く。万が一のときに追跡するためのものなんだって。
演奏後は観客の多くも感激、感動、目一杯拍手するのだけど、
やはり従来のような迫力ある拍手で包み込むことは出来ない。
ピアニストにはどう聴こえたのかな。
そんなことを気にしながら、ホールを後にした。
