3日目の朝。目を覚ますとすぐに向かったのは、縮景園(しゅっけいえん)でした。

前夜、バーのスタッフが「絶対に行ってみてください」と勧めてくれた場所です。


縮景園は1620年に造られた大名庭園で、1940年に浅野家から広島県に寄贈され、市民に開放されました。

期待を胸に到着しましたが、現実は少し違いました。

一晩中降った雪が溶けて、足元はすっかり泥だらけ。

木の上に危うく積もっていた雪のかたまりが、「ぽとり、ぽとり」と音を立てて落ちていました。


それでも、雰囲気は悪くなかったです。

細い小道、大きな池、ちょっと一息つける東屋(あずまや)。

華やかさよりも、しんと静まり返った日本の古い庭園。

泥を避けながらゆっくり歩くその足取りが、むしろ庭に合っていました。

春や秋に来たら本当にきれいだろうな、と次の季節を約束したくなる風景でした。

 


庭を出て、広島城(ひろしまじょう)へ向かいました。

歩いて行ける距離だったので、散歩がてら歩きました。

城に近づくにつれ、人が増えていきました。

城の隣にある護国神社(ごこくじんじゃ)へ、初詣に向かう行列でした。

幼い子どもの手を引く親から、杖をついたお年寄りまで。

この人たちにとって、お正月の参拝は宗教的な儀式というより、当たり前の日常のように見えました。


人波に押されて神社の内部は諦め、代わりに城をゆっくりと見て回りました。

残念ながら、原爆投下の際に崩壊してしまい、現在の広島城は1958年に復元されたものです。

大阪城は緑、姫路城は白。でも広島城は黒でした。

鯉の城(りじょう)とも呼ばれるそうで、その墨色の重さがなかなか印象的でした。

天守閣に入る列が長すぎたので、内部には入りませんでした。

でも入らなくても、外から眺める黒と白のコントラストだけで十分でした。

 


城を出て、原爆ドーム(げんばくドーム)へ向かいました。

広島旅行を決めたとき、周りから一番よく聞かれた言葉があります。「放射能は大丈夫?」

おそらく福島の事故の記憶があるからでしょうが、それだけ「原爆」という言葉が今もなお恐怖をもたらしているということの証でもあると思います。


実際に目の前にしたドームは、凄惨でありながら、どこか奇妙な佇まいでした。

爆心地の真上で爆発したために、逆説的に骨格が残ったという建物。

崩れ落ちた煉瓦と剥き出しの鉄骨が、あの日の時間をそのまま留めていました。


橋を渡り、平和記念公園(へいわきねんこうえん)の奥へと足を踏み入れました。

足が向いたのは、韓国人原爆犠牲者慰霊碑(かんこくじんげんばくぎせいしゃいれいひ)。

公園の中心部ではなく、少し外れた場所に立っていました。

大韓民国政府ではなく、民間団体の力で建てられた碑。

目立たない場所のせいか、韓国人以外の人が足を止めることは少なそうでした。

しばらく黙祷を捧げました。


あの時代、見知らぬ土地へ渡らざるを得なかった人たち。

別の場所にいたなら、もう少し耐えていたなら、光復を迎えられたはずなのに。

終ぞ故郷へ帰れなかった魂がこの碑の下にいると思うと、胸の奥がひんやりとしました。

歴史の影は、いつも最も弱いところに深く落ちる。

 


重い気持ちを後にして、繁華街の本通り(ほんどおり)へ移動しました。

お腹が空いて、慣れ親しんだ一蘭(いちらん)のラーメンを一杯食べ、カーハート(Carhartt)の店へ向かいました。

ずっと気になっていたアクティブジャケットがあれば買おう、なければ仕方ない、という気持ちでしたが、運よくサイズがありました。

免税手続きをしながら店員さんと話しました。「日本語お上手ですね!」3日連続で聞く褒め言葉ですが、やっぱり嬉しい。

今年、韓国旅行を計画しているという店員さんは、はりきって日本限定デニムを営業してきました。でも最終日だったので、財布を守ることにしました 笑


ホテルでひと休みしてから、夕食を食べに再び外へ出ました。

前日リベンジできなかったお好み村(おこのみむら)。

建物の中にお好み焼き屋さんがぎっしり並んだ様子は、まるで屋内市場のようでした。


でも問題が起きました。ほとんどの店が「現金のみ」。

現金が少なかった僕は、カードが使える店を探して建物中をハイエナのように歩き回りました。

なんとかカードのステッカーが貼られた一軒を発見。

お好み焼きと生ビール、そして欲張ってとん平焼き(とんぺいやき)まで注文しました。


結果は大失敗。半分も食べないうちにお腹が破裂しそうになりました。

閉店時間も近かったので、無理やり食べようとしましたが、手には負えませんでした。

結局、食べ残して逃げるように出てきました。

あまりにもお腹がいっぱいで、2軒目のバーに行く予定もキャンセル。

広島最後の夜は、そんな満腹感とともに幕を閉じました。




翌朝、空港へ向かう道。広島空港は山の中にあります。

電車が通っていないため、バスに乗って曲がりくねった道を登っていきました。

着いた空港は、思ったより小さかったです。

預け荷物を出す時、コンベアベルトがなく、スタッフが直接かごに入れて運んでいました。

保安検査場もたった一列。

最先端のシステムに慣れていた僕には、このアナログな風景がなんだか面白かったです。

免税店もこぢんまりとした商店レベルで見るものはありませんでしたが、おかげであまり歩かなくてよかったです。


3泊4日。コンビニのウーロン茶で始まり、山の中の小さな空港で終わった旅。

華やかではなかったけれど、見知らぬ人たちの温もりと、歴史の重みが共存した時間。

広島は、思っていたよりずっと長い余韻を残す街でした。


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