国立大学病院の経営も限界に近づいている

国立大学病院の経営状況が、公立病院と同様、極めて危機的な段階に入っています。
2025年に公表された2024年度決算速報によると、
2004年の法人化以降で最悪の赤字を記録しました。

これは一部の病院の問題ではなく、
国立大学病院全体に及ぶ構造的な危機と言えます。

 

 

赤字病院は7割超|国立大学病院の現実

国立大学病院長会議の発表によると、
全国42の国立大学病院のうち、30病院が赤字となりました。

  • 赤字病院の割合:71.4%
  • 前年度(16病院)から ほぼ倍増

もはや「例外的な赤字」ではなく、
赤字が当たり前の状態に陥っています。

 

赤字総額は約286億円|法人化以降で最大

赤字の規模も深刻です。

  • 2024年度 経常損益
     約285〜286億円の赤字

これは前年度(約60億円赤字)の
約5倍に相当し、法人化以降で最大の赤字額となりました。

 

なぜ国立大学病院の経営は悪化したのか

① 人件費の急増

  • 医師の働き方改革への対応
  • 人事院勧告による給与引き上げ

人件費は前年比284億円増
一方、診療報酬改定による増収は111億円にとどまり、
完全にコスト増に追いついていません。

 

② 医療コスト・物価高騰

  • 医薬品費:前年比14.4%増
  • 診療材料費:前年比14.1%増
  • 光熱費の上昇

医療現場は、あらゆるコスト上昇を同時に受けている状態です。

 

③ 高度医療ほど赤字になる構造

国立大学病院は、日本の高度医療を担っていますが、
その多くが「やればやるほど赤字」になる構造です。

  • 肺移植:1症例あたり平均418万円の赤字

命を救う医療ほど、
経営的には持続不能という矛盾を抱えています。

 

④ 設備投資の重圧

  • 電子カルテ・病院情報システム更新
     1病院あたり年間約10億円
  • 老朽化した建物・医療機器の更新

これらは避けられない支出であり、
経営をさらに圧迫しています。

 

2025年度はさらに悪化の見通し

国立大学病院長会議によると、
2025年度(令和7年度)の赤字は400億円超に拡大する可能性があるとされています。

大鳥会長は、

「このままでは間違いなく潰れる」
「事業継続の危機にある」

と、極めて強い危機感を表明しています。

 

医療だけでなく「研究・教育」も危機に

経営悪化の影響は、
診療だけにとどまりません。

  • 若手医師の研究時間の減少
  • 論文の質・量の低下
  • 教育機能の弱体化

これは、日本の医療の未来そのものに直結する問題です。

 

まとめ|国立大学病院は「最後の砦」だが…

国立大学病院は、
高度医療・研究・教育を担う日本医療の最後の砦です。

しかし現実には、

  • 赤字病院:7割超
  • 赤字総額:約300億円
  • 今後は400億円超の見通し

という、壊滅的とも言える財政状況に陥っています。

このままでは、
「守るべき医療そのものが維持できない」
という事態になりかねません。