高市早苗首相は、複数の報道によれば、1月23日召集の通常国会冒頭で衆議院を解散し、2月上中旬に総選挙を行う意向とされている。
しかし、直近の前橋市長選の結果は、その判断が決して容易ではないことを示している。

 

「政治と金」の問題は終わっていない

自民党の「政治と金」の問題は、個々の議員の不祥事や形式的な処分で収束する性質のものではない。
それは党の体質や意思決定のあり方そのものに深く根差した、構造的な問題である。

有権者の側も、「誰か一人を切れば終わり」「時間が経てば解決する」といった説明では、もはや納得していない。この点で、政治と有権者の認識には明確なズレが生じている。

 

高市政権の認識と有権者感覚の乖離

高市政権は、この問題を個別事案の管理や選挙戦術の一部として捉えているように見える。
不祥事を起こした議員であっても、地盤や組織力を理由に再選を目指し、一定期間が過ぎれば“みそぎ”が済んだかのように扱おうとする姿勢は、有権者の感覚と大きく乖離している。

この乖離こそが、現在の自民党に対する根深い不信の正体である。

 

前橋市長選が示した「静かな不支持」

今回の前橋市長選で明らかになったのは、「政治と金」に対する不信が、声高な怒りや一時的な反発ではなく、冷静で持続的な不支持として内在しているという事実である。

選挙への関心が高まるほど、この不信は表面化しやすい。
自民党系候補が、不祥事批判という一見有利な材料を持ちながらも勝ち切れなかった背景には、この未解消の不信が確実に横たわっている。

 

地方選挙にとどまらない影響

この構図は、前橋という一都市に限った現象ではない。
地方選挙は、生活実感と政治評価が直結しやすい場である。ここで積み重ねられた判断は、やがて国政にも波及していく可能性が高い。

地方での小さな「違和感」が、全国規模の政治評価へと連鎖するのは、過去の選挙でも繰り返されてきた現象である。

 

衆院解散は高リスクの賭けになる可能性

こうした状況下で、不祥事を抱えた議員の再選を前提に衆議院選挙を戦えば、高市総理は足元をすくわれる危険性が高い。
表面的な支持率や組織動員に依存した戦略では、有権者の「まだ終わっていない」という判断を覆すことは難しい。

むしろ、選挙という場を通じて、その不満や不信が一気に噴き出すリスクすら孕んでいる。

 

前橋市長選が突きつけた警告

総じて言えば、今回の前橋市長選は高市政権に対し、
「政治と金の問題は、まだ入口にも立っていない」
という厳しい現実を突きつけた選挙だったと言える。

この警告を読み違えたまま解散や再選戦略に踏み切れば、それは攻めではなく、自ら仕掛ける高リスクの賭けとなる可能性が高い。
前橋市長選は、その兆候をはっきりと示した。