仕事柄、自分のウェブページ「アイビーネット」を開いています。この4月、膵臓がんと宣告された夫「nabeさん」から、「ネットをのぞく友だちもいるから今は書かないでほしい」と頼まれ、つい最近まで、自分のウェブページには気持ちと裏腹に陽気な書き込みを書いていました。

術前の化学療法が始まり、落ち着きを取り戻したnabeさんから、がんのこと、書いてもいいよ、と言われ、今回はがんの闘病生活に触れながら、ゴーヤについて書くことにしました。

 

この2か月ほどは、針のムシロでした。nabeさんに黄疸の症状が出て、家庭医に行き、翌日、家庭医に血液検査の結果を聞きに行ったnabeさんはいきなり武蔵野日赤へ即入院となりました。数日後に胆管のステント手術を受け、その折、膵臓がんが見つかり、すぐに膵臓がんの摘出手術の日程が決まりました。膵臓の頭部分にできる膵頭部がんは、胆のうなどいろいろな臓器と連携しているため、4つの管を切断し、膵臓を取り出し、膵頭部をはじめ、胆のう、十二指腸などを大きく切り取り、膵臓を戻した後、4つの管をつなぎ合わせるという7時間以上を超える大手術と聞き、余りの突然の成り行きに大きな不安で押しつぶされそうでした。本当に膵臓がんなのだろうか、この手術方法は最善なのだろうか、今の最先端のがん治療はどんなものなのだろうかと、日赤の担当医師へ気兼ねしつつもセカンドオピニオンを申し出て、今のがん研中央病院にたどり着きました。

 

がん研では最初から検査のやり直しとなり、入退院が1か月半ほど続き、まさかの「肝臓への転移」の疑いを告げられ、「手術不可能」という想像もしなかった言葉に衝撃を受けました。日赤の担当医師からは「何もしなければ2年」と宣告されていましたから。

 

最後は、最先端医療に望みを託しました。こうしてnabeさんの突然のがん闘病生活が始まりました。

 

三味線、着付け、テーブル茶道、英会話、ビデオ編集と習い事に明け暮れていたわたしの日々も一変。全ての習い事をやめ、わたしもnabeさんの闘病生活を応援する日々が始まりました。

 

がんって長期戦なんですよね。術前の化学療法から始まり、その後、手術をし、術後にまた化学療法を行うというのががん研の一般的な治療法です。

 

6月4日、術前の第一回目の化学療法が始まりました。2時間弱の化学療法の点滴を受け、体調が悪くなることもなく、電車でこの日は帰宅しました。化学療法の初日、当然の副作用があるはずと覚悟していただけに、元気なnabeさんの姿に逆に驚きました。がん治療はまちがいなく進化している、とこの時、確信しました。

 

1週間、がんへの薬の効き目を見守り、また次の週に点滴をするという治療が全部で3週続き、残りの1週をお休みにして、4週でやっと1クールの化学療法が終わります。そして、2クール、3クールと、転移したがんの様子を見ながら化学療法が続きます。つまりnabeさんの場合、膵臓がんの手術ができるまで、術前の化学療法が続きます。

 

化学療法が始まって、nabeさんはすっかり落ち着きを取り戻しました。便秘という副作用はありましたが、薬局で薬をもらい、便秘を解消し、他には痛みもほぼなく、食欲もあり、人づてに聞いた激しい化学療法の副作用も現れることもなく、普段に近い生活を送っています。がん研の最新治療、本当に素晴らしいです。

 

闘病生活を応援するわたしができることと言えば、栄養いっぱいの食事作りと体力作りのための散歩のお供です。ひたすら、健康作りのための食事を作って、夫に付き添って、散歩をして、時にお気に入りのソコラへ行って、二人で好きな食材を買う、というのが今のわたしたちの闘病生活です。食事はバランスよく品数を多くすること、良質なたんぱく質を摂る事、野菜や果物を多く撮る事、できれば、無農薬野菜を使うこと、減塩を心がける事など、注意することがいっぱい。

※6/5の朝食です。フルーツやサラダ、カスピ海ヨーグルト。シチューは「がん患者のレシピ」を見ながら娘が作ってくれた「鮭と野菜がたっぷり入ったシチュー」です。カスピ海ヨーグルトには繊維が豊富なシリアル、ナッツ、牛乳を加えています。

 

購入する食材も様変わりしました。減塩しょうゆ、玄米、発芽玄米、全粒紛入りのパン、ブロッコリー、ゴーヤ、ゴーヤ茶、マヌカハニー、カスピ海ヨーグルト、飲むヨーグルト、品質自慢の牛乳など、できるだけ身体によい食材を探すようになりました。

 

実はエントランスの変更も、闘病生活の一環なんです。真っ先に、フェンスからあふれるほどに立派に育ったモッコウバラを切りました。年ごとに見事な花を咲かせてくれましたが、花が咲くと、ご近所にたくさんの花びらが散るので、毎日の花びら掃除が大変な手間でした。

※画像は、今年の4/16のモッコバラ。花をいっぱいにつけ、優にフェンスを50cm以上も超えて、あふれるほどに花をつけていました

 

余りに花びらが落ちるので、途中から咲いてる花も散る前に切り落としたりしていましたが、もう今のわたしにはこんな悠長な時間はありません。新芽がどんどんと勢いよく伸び、たくさんの葉っぱをつけたモッコウバラは45リットルの袋2つに収まりました。フェンスを拭き終えると、すっかり見通しのよくなったフェンスから爽やかな風が流れてきました。

 

次に取り掛かったのが、ゴーヤのグリーンカーテン作り。モッコウバラを切ったのは、このゴーヤづくりに日々の時間を割くため。ゴーヤの水やりがひどく面倒になって、毎年、恒例のように作り続けてきたゴーヤのグリーンカーテンを2年前にやめてしまいました。よもや、ゴーヤづくりをやめたこの2年間に夫のがんが芽生えたのでは、とそんな思いも頭をよぎりましたが、今更そんなことを考えたところで答えがわかる訳もなく、それよりも前を向かなきゃ、前を!と気を取り直しました。

※こちらは2020年収穫したゴーヤ。日記を調べたら、2021年までしっかりとゴーヤカーテンを作ってました

 

ゴーヤは調べれば調べるほど、がん患者にとって、優等生の食物なんですよね。ビタミンCが豊富でトマトの3~5倍で、食物繊維も豊富。また特にゴーヤのビタミンCは熱を加えても壊れないんだそうです。

 

ゴーヤの苦味成分「モモルデシン」は20種類以上のアミノ酸を含み、胃の粘膜を保護したり、胃腸を刺激して消化液の分泌を促進するそうです。だから夏バテ防止にも最適の野菜なんですね。

 

もう植え付け時期からかなり過ぎていましたが、6月6日、花屋で沖縄産のアバシゴーヤを発見。4本買うことができました。いつもは白ゴーヤや、実がたくさんなる新種のゴーヤなどを植えてましたが、マイカーをやめて遠出はできないので、ここは165円のゴーヤで我慢。

 

まずは毎年ゴーヤを植えていた野菜用のプランターの中で巨大に育ったツルニチニチソウを他のプランターに植え替える作業が大変でした。4本のツルニチニチソウをようやく移し代え、野菜用のプランターに、自転車で3往復して買った9袋の「花や野菜用の土」を入れ、15センチほどの小さなゴーヤを植えました。大きな野菜用のプランターの中でちょこんと緑の葉を拡げる、小さくて、ひ弱なゴーヤの苗。余りに小さすぎて、心もとなく、心配でしたが、翌日のぞくと、ちゃんと、か細いひげを支柱に巻きつけてました。

※3年ぶりのゴーヤづくりなので、小さな苗が心配でなりません

 

せっせとゴーヤを育てて、無農薬ゴーヤでゴーヤチャンプルやゴーヤのおひたしなどを作って、がんに立ち向かう身体作りを応援したいなと思います。

 

この日はソコラで買ったりっぱなゴーヤでおひたしを作りました。めいっぱい薄くスライスして、塩をふり、5,6分ほど寝かせて、しっかりモミモミ。緑の濃い渋みがきれいになるまで手で揉んでは洗い流します。

 

 

味の決め手は、かつお節と、紀文のちくわと、ちりめんじゃこ。全部をしっかりと混ぜ込みます。少しでも栄養になるものは何でも入れてます。良質なたんぱく質が欲しい時は、チーズや茹でた鳥肉も結構合います。あとは、日本酒や本つゆなどで味を調えてください。

 

食べ方は豆腐の上に載せるのもよし、パンの上にのせて、ゴーヤのおひたしをスライスチーズで覆い、焼くのもお薦めです。冷蔵庫に入れて置くと、1週間ほど日持ちするので、味噌汁等、なんにでも入れてます。

 

今回は闘病生活とゴーヤの話を書かせてもらいました。化学療法は2クール、3クールと段々と副作用が強まるそうなので、覚悟はしています。1クール目の今がnabeさんの体調が最も良い時期なのかもしれませんね。

 

今日の小金井公園の散歩で、3年ぶりでしょうか、カルガモのヒナをいつものふたつ池で発見しました。3びきの生まれたてようなヒナがスイスイと元気に泳いでました。3びきというと、きっと他のヒナたちはカラスや他の外敵に既に襲われてしまったようです。がんばって、カルガモのヒナたちも応援したいなと思います。

※2024/6/9の小金井公園のふたつ池で発見したカルガモ親子。毎年楽しみにしているヒナですが、ここ3年ほどはヒナの誕生はなく、だから久しぶりのヒナ誕生に感動してしまいました

 

体力作りのための散歩にひとつ大きな楽しみが増えました。この日の歩数はカルガモのヒナたちのお蔭で、最近では記録的な8191歩となりました。