竹田城跡、入り口に新たな石積み 安土桃山以前に建造か
2021/02/25
兵庫県朝来市教育委員会が竹田城跡(同市和田山町竹田)で行った遺構調査で、正面入り口にあたる「大手道」の地中から、これまで想定されていなかった石積みが見つかった。南千畳では、虎口(こぐち)(敵の侵入を防ぐ細い道)の地中には石垣の跡がなかったといい、市教委文化財課の大川拓也主事(26)は「石垣は構築の途中段階で未完成だったことが分かった」と話す。
竹田城跡は1400年代に山名持豊の配下だった太田垣氏の城として築かれた。安土桃山時代には織田・豊臣方の攻撃を受け、1585年に最後の城主となる赤松広秀が入城。現在の石垣は赤松時代に造られた。
同市は2017年に策定した「史跡竹田城跡整備基本計画」に基づき、18年度から毎年、冬季閉山期間の1、2月に調査を続けている。今回は大手道と南千畳の2カ所で実施したところ、大手道で、花こう岩でできた石積み2段が約6メートルにわたって確認された。現在の石垣とは大きさや積み方も違うという。
大川さんは「竹田城が廃城した1600年以前に造られたとみられる。詳細な調査をして時期や用途を特定したい」と話している。
竹田城跡の大手道石段の下に瓦 遺構調査で古い石積みも発掘
2021/02/19
「天空の城」として人気の竹田城跡(兵庫県朝来市和田山町竹田)で、大手道の石段の下から瓦や古い石積みが発掘された。調査した朝来市教育委員会は、竹田城の成り立ちを解明していく上で貴重な発見となったとしている。
朝来市は基本計画に基づき、2018年度から竹田城跡の整備事業を手がけている。いくつかの工事が計画され、これに先立ち遺構の残存状況を把握するための現状確認調査を毎年続けている。今年度調査をしたのは大手門に続く大手道枡形虎口周辺と、南千畳虎口。市教委が14日に調査結果の一般向け現地説明会を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受けて中止し、代わって17日に報道機関向け説明会を開いた。
竹田城跡は円山川(朝来川)や、但馬と播磨、丹波を結ぶ街道を見下ろす標高約350メートルの古城山の山頂に築かれている。天守台を中心に3方向の尾根に石垣を巡らせ、曲輪や竪堀などを配置して守りを固めていた。「石垣のある山城として希有」だと、昭和18年(1943)に国史跡となった。
但馬守護の山名宗全が、配下の太田垣氏に命じて築城し、嘉吉3年(1443)に完成。太田垣光景が城主となり、7代続いたというのが通説。
その後、織田信長・豊臣秀吉の織豊時代を迎えると、秀吉の但馬攻めで竹田城は落城した。城の主は羽柴秀長、桑山重晴を経て天正13年(1585)、播磨龍野から入城した赤松広秀へと移る。
広秀は慶長5年(1600)、関ケ原の合戦で西軍について丹後田辺城攻めに加わり、西軍敗退後は東軍として鳥取城攻めに参陣。功績を挙げたものの、城下町に放火したことを責められ自刃。竹田城主の座は15年に終わった。
一般には、赤松時代が竹田城の最後とされている。
赤松氏以後の15年間については、竹田城について記した資料がなく、歴史の空白期になっている。
次に明らかになるのは、元和元年(1615)。一帯が生野代官所の支配下に置かれて幕府直轄地となり、この年に制定された一国一城(一つの国に城は一つだけとする)令により、竹田城は廃却されたと考えられてきた。
また竹田城は廃棄後の、石垣だけの絵図しか残っておらず、どの時代にどのような建物があったのかも分かっていない。
いま見られる石垣は、積み方などから赤松時代に築かれたと見られている。
南千畳虎口での調査で、この石垣の基礎部分を調べたところ、一帯には花崗岩の岩盤が広がっていることが確認できた。石垣の基底部まで掘り下げると、石垣は土の上に積んだのでは無く、地山の岩盤を利用して組んだことが分かった。
大手道側の発掘調査では、石の階段を掘り返したところ、下の土の中から屋根瓦が出て来た。これまでも城跡に瓦が残っていたが、今回は石段の下から発掘できたことで、かつて瓦で屋根をふいた建物があり、壊した後に新たに石段を造っていることが分かった。
また、石段の下には、現存する石垣より前の時代の技法「重ね積み」による石積みが出て来た。どの時代のもので、何の石積みなのかなどは今後の検討となる。
発掘調査は竹田城の冬季立ち入り禁止期間を利用しての実施。3月に「山開き」をして、観光客を迎えるまでに掘った溝、遺構などは埋め戻され、再び静かな眠りにつく。
写真 は上から順に
写真1=石垣より前の時代の石積みが発掘された
写真2=石垣は地山の岩盤を利用して積まれていることが確認できた
写真3=石垣が美しい竹田城跡
写真4=石段の下に瓦があった
写真5=大手道の発掘現場
竹田城跡『夜桜ライトアップ』朝来市
2021年3月27日(土)~4月11日(日)
普段は立ち入れない夜の幻想的な光景を特別に
2021・02・21
天空の城」や「日本のマチュピチュ」と呼ばれ親しまれている竹田城跡(朝来市)で桜の開花に合わせ、今年も「竹田城跡 夜桜ライトアップ」が実施されます。期間は3月27日から4月11日まで。
通常であれば年間を通して18時以降は入城できない竹田城。夜の姿を桜とともに楽しめる貴重な機会です。登場方法は、山城の郷ルート(西登山道)、駅裏登山道、表米神社登山道の3つで、山城の郷ルートからはチャーターバス・タクシーを利用し、中腹バス停まで登城が可能。夜間は登山道、城跡内共に足元が暗いため、懐中電灯等が必ず必要です。開催時期は桜の開花状況により前後する場合があり、その際はこちら の公式ホームページにて発信されます。
年に2回以上、竹田城跡に行く人は、4月1日に発行の年間パスポート(1,000円)がオススメです。購入者には竹田城跡限定オリジナルハンドタオルがプレゼントされますよ。年間パスポートは登城口で購入できます。
期間
2021年3月27日(土)~4月11日(日)
場所
竹田城跡
(朝来市和田山町竹田古城山字169番地)
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開門時間
夜桜ライトアップ
18:00~20:00
最終入城時刻19:30、閉門時刻22:00
通常時間
スプリングシーズン(3月1日~5月31日)
8:00~18:00(最終登城時刻17:30)
観覧料
500円(中学生以下無料)
お問い合わせ
情報館「天空の城」
TEL 079-674-2120