「松木恒秀」一周忌追悼セッション@ 新宿ピットイン 2018.6.16 | KOFNのある日どこかでJazz

「松木恒秀」一周忌追悼セッション@ 新宿ピットイン 2018.6.16

 

 

 

松木さんの生演奏を最後に聴いたのは、2011年夏のMotion Blue YokohamaのWhat is Hip?と高田みち子のライブだった。極上の音に包まれた忘れられない夜になったが、またいつか聴けると信じていた中での昨年の突然の訃報だった。

 

あれから一年。この夜、新宿ピットインは立ち見の人も動けないほどの大勢の人で埋め尽くされた。

 

セッションメンバーは、野力奏一(P,Key) 高水健司(B) 村上”ポンタ”秀一(Ds) 本多俊之(Sax) グレッグ・リー(B)三好”3吉”功郎(G) 高田みち子(Vo)という豪華メンバー。僕にとっては高田みち子の歌声をこのメンバーをバックに聴けるという意味でも非常に楽しみなライブになった。

 

1st Setはインストのセットだった。

1曲目はBob Dylanの曲「Watching The River Flow」のRichard Teeバージョンで始まった。

2曲目は松木さんがピットインスタジオでレッスンをしていた時に教材用に作曲した彼のオリジナル曲ということらしいが、これがDavid Spinozzaを思わせるメロウ&ブルージーな曲調で大変素晴らしかった。

 

3曲目は映画のテーマ曲で「Just Between Friends」。たしかEarl Klughの曲だったと思う。

4曲目は野力さんのオリジナル曲で「吾妻橋」。スローな曲だが本多俊之さんが加わって熱く盛り上がった。

 

5曲目はDonny Hathawayの「This Christmas」をWhispersが焼き直した「Song For Donny」。

そういえばこの曲はチキンシャックによる素晴らしいカバーもあった。

6曲目はスティールパン奏者のAndy Narellの曲「Once A Dancer」。痺れるほどカッコいいフュージョンの名曲だ。

 

2nd Setになってすぐ高田みち子が登場かと思ったらそうでもない。

野力さんと高水さんと村上さんの3人が登場して、松木さんの思い出話が始まりこれが長く続いた。

ピットインの社長の佐藤さんもステージの前に立ち、松木さんのエピソードが披露された。

2年前のピットイン50周年のイベントの時のようにシークレットゲストで山下達郎や竹内まりやが来るかという淡い期待もあったが、それはなかった。ただし、二人から届いたあたたかいメッセージが野力さんと村上さんから読まれた。

 

そしていよいよ高田みち子の登場。

名曲「雨は優しく」から。この日は少しゆったりめなテンポで、松木さんの雨を想起させる名アレンジと高田さんの歌声が心にしみた。早くも鳥肌。「New Life」はニューオーリンズ風のポンタさんのドラムがかっこいい。

 

「大桟橋と観覧車」はスタジオ録音版には松木さんのギターは入ってないが、この日は三好功郎氏の素晴らしいギターソロがフィーチャーされた。弾きながら背後から「お前なにやってるんだ」と松木さんに殴られていたということだったが(笑)。

 

「夕暮れと嘘」も「chocolate」もとても良い曲で、ライブで何度でも聴きたいと思わせる曲だ。この日もポンタさんの表情豊かなドラムが加わって充実の演奏だった。ただ「chocolate」は2011年に横浜で聴いた時の松木さんのメロウでかつ太い単音バッキングのギターの印象が強くて、この日の音はスムーズに聴こえて物足りなく思ってしまった。あらためて不在を惜しく思った。高田みち子のフルートソロには心が洗われた。

 

「You’ve Got A Friend」はDonny Hathawayがライブで演っていたゴスペルバージョンで。

アンコールは出演者が全員登場して「Route 66」のセッション。

20時に始まって終わったのが23時頃だから、約3時間。松木さんを偲ぶお祭りは一旦終わった。

 

 

「松木恒秀」一周忌追悼セッション@ 新宿ピットイン

[1st Set]
01. Watching The River Flow
02. 松木さんのオリジナル曲(未発表)
03. Just Between Friends
04. 吾妻橋
05. Song For Donny
06. Once A Dancer

[2nd Set]
07. 雨は優しく
08. New Life
09. 大桟橋と観覧車
10. 夕暮れと嘘
11. chocolate
12. You’ve Got A Friend

[encore]
13. Route 66