「クリーピー 偽りの隣人」黒沢清監督作品 | KOFNのある日どこかでJazz

「クリーピー 偽りの隣人」黒沢清監督作品






「葛城事件」と続けて見たが、見た後の心理的な衝撃は「葛城事件」には及ばないものの、
映画としてはこちらの方が上だと僕は思った。

「葛城事件」は俳優の演技が凄かったが(脚本もいい)、こちらは俳優よりもまず画面設計が凄いという感じだった。最初からずっと不穏な空気が支配してる映像が凄い。

家の全景のショットがなぜあれほどに怖いのか。前景から急にカメラが空高くに上がって俯瞰に変わるあの不気味なショット。全ての画面に緊張を強いられる。大学のガラス張りの事務所も然り。

途中から身体が揺れ続けている竹内結子は、西野宅の庭の背の高い草が風に揺れるように揺れている。
扇風機の意味不明な無機質の怖さ。結局全ての登場人物が不気味。

「北九州監禁殺人事件」や「埼玉愛犬家連続殺人事件」を参考にしてるのは、間違いないと思われるが、香川照之の怪演以上に黒沢清監督の怪演出にやられた感じだ。
トビー・フーパーの「悪魔のいけにえ」も入ってる。

警察の不自然な対応など、現実とはかけ離れてるような面もあるが、これはファンタジーなのだからいい。