Gardner分類を数値化  | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

2000年に報告された

Gardner分類は

胚盤胞の格付け法として

現在でも頻用される

(David K Gardner et al., Fertil Steril. 2000 Jun;73(6):1155-8.) 

 

皆様もご存知の4ABとか3CBとかアレです

参照記事↓↓

 

 

移植胚盤胞の順番を決定するうえでも

重要な役割を担うことに今でも変わりないが

例えば4BA が4ABより格上、いや同等だ 

とか

Cが入るとワンランク下げたほうが良いのでは 

など 

いくつかの議論がある

 

今回、カナダ・サスカトゥーンより

ガードナー分類をシンプルに数値化

(numerical embryo quality scoring index, NEQsi)

して妊娠成績まで追跡した報告があった

 

問題:次のうちNEQsiで採用された採点法は

どれか?

 

1 AA胚盤胞にはさらに1点を加点する

2 BAはABより格上として扱う

3 AC、BB、CAは同等として扱う

4 AC、BC、CB、CAはさらに1点を減点する

5 CC胚盤胞はさらに2点を減点する

 

正解は↓↓

























 

 

正解:3  AC、BB、CAは同等として扱う

 

3BB の胚盤胞を例にNEQsi採点法をやってみる 

まず数字はそのまま採用して+3点 

BBは+3点(AA:+5点 AB、BA:+4点 AC、BB、CA:+3点 BC、CB:+2点、CC:+1点と分類)

NEQsi Scoreは6点となる 

 

極めてシンプルだが、妊娠反応陽性の予測因子

として機能した(p値<0.001)という

 

これが本当なら患者さんにもわかりやすい

 

出典:Hannah E Pierson et al., Reprod Biomed Online. 2023 May;46(5):808-818. 

 

 

Gardner分類の開発者

Dr. David K Gardner

について少し語る

 

卵管内容液と子宮内容液の栄養素

の組成が異なることを同定し

sequential mediaを開発

胚盤胞培養に初成功した人である

Gardner分類は

コロラド州CCRM時代に

その成果を利用して

Dr William B Schoolcraft

らと行った

胚盤胞分類法である

 

私も2000年前後だったか大学で

胚培養士として勤務していた時代に

sequential mediaが発売され

早速 反復不成功例に試したところ

day5で見事な胚盤胞ができ

新鮮移植で一発で妊娠成立

出産まで立ち会うことができた

 

デイヴィッド・ガードナー

超スゲ~~~!!!

と感嘆したことは

今でも忘れられない

 

Dr.Gardnerは一昨年豪州から叙勲を受けたが

今でも研究者として第一線で活躍しており

昨年も成績向上のために胚培養液に

ある分子を添加した報告を出している

 

米国生殖医学会(ASRM)や

欧州ヒト生殖医学会(ESHRE)で

会場を普通に歩いていて

そのようなlegendaryな存在に会える

 

この業界にいて幸せだな

と感じる瞬間です

 

 

今日の一曲:Bill Deal - It Feels Like Christmas (feat. Pure Pleasure)

お気楽R&B/FUNK特集

季節外れも甚だしいとのご指摘もあるだろうが

豪州は只今、晩秋を迎えているはずだ

このレコードはニュージャージー州West Orange 

というところのRed Lionという

オブスキュアなレイベルからリリース 

当初クリスマス・シーズンを情景描写するが

チャラい歌い方から予想されたとおり

案の定世俗的になるところが面白い

ライト・ファンク佳曲!!!