凍結融解胚移植:優勝なんか一切目指しません! | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

 

出典:Quetrell Heyward et al., J Assist Reprod Genet. 2021 Nov 5. doi: 10.1007/s10815-021-02348-1. 

Racial disparities in frozen embryo transfer success.

 

多様な民族が暮らす米国から、

「アジア系女性の

新鮮胚移植周期の

妊娠成績が振るわない」

「その原因として

早発P4(プロジェステロン)上昇を

起こしやすいためではないか?」

という報告が以前にあった↓↓

https://ameblo.jp/koetaro/entry-12420858309.html

 

時は流れ

凍結融解胚移植が主流

となった昨今

状況に変化はあったのか

 

フィラデルフィアから

大変気になるレポート。

 

・2013-20年の凍結融解胚移植成績を

人種別に(白人1,181人 (71.7%), 

黒人230人 (14.0%), アジア人 235 人(14.3%))

比較した後ろ向き研究

 

・諸因子調整後、

黒人女性の妊娠反応陽性率

(AOR 0.66, 95% CI 0.49-0.90)、

臨床妊娠率(AOR 0.71, 95% CI 0.53-0.97)、

出産率(AOR 0.65, 95% CI 0.47-0.89)

は白人女性に比べて低かった

 

・全体解析、ホルモン補充周期

について

アジア人と白人の間に差は無かった

一方、自然周期については出産率に

差が見られた

(白人52.36% 、黒人25.81%、

アジア人44.19%、p = 0.02)。

 

アジアと云っても

東は日本から西は中東まで広い

とても一括りにはできないが

凍結融解胚移植を以てすれば

白人との間に差は無かった

のは安心材料。

 

ただ自然周期に限ると劣っているのが、

やきもきさせる。

 

なお、米国黒人系女性には

もしかしたら

新鮮胚移植周期の方が

合っているのだろうか。

 

これまでもそうだったが、

ART治療において

総合成績で勝るのは白人系だ、

という結果を

改めて見せつけられた

 

もちろんもっと大規模な報告を

待ちたいのはやまやまではあるが。

 

今日の一曲:

Frank Hooker & The Positive People - Like Sister And Brother

再掲?フィラデルフィアに好盤を残す

ワシントンDC出身の

ヴォーカル&インスト・グループ。

英国へ渡り

商業的成功を得た

ドリフターズのカヴァー。

ノーマン・ハリスがアレンジ!