体外受精・顕微授精:成熟卵をより多く回収するためのHMG/rFSH製剤の使用法 | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Damla C Gonullu et al., J Assist Reprod Genet. 2021 Jun 14. doi: 10.1007/s10815-021-02220-2.

Oocyte stimulation parameters influence the number and proportion of mature oocytes retrieved in assisted reproductive technology cycles

 

採卵では成熟(MII)卵をひとつでも多く回収することが重要である。

未熟(MI/GV)卵は正常受精能力を持たない。また採卵6時間を過ぎてMIIに到達していない卵子の受精・培養成績は不良である。

 

では、どのような周期で成熟卵がより多く回収できていたか?デトロイトから。

 

 

・2546人を対象にした後ろ向き解析報告

 

・諸因子調整後成熟卵数、成熟卵率が高かったのはHMG/rFSH製剤総投与量がより多かった周期

一日あたりのHMG/rFSH製剤投与量が少なかった周期であった

 

・なお、トリガー法で成熟卵率に差が出たが、

これはOHSSリスク回避のため医師が方法を選択したことによるバイアスの影響が考えられた

 

・顕微授精に用いた卵子では、体外受精に用いた卵子よりも成熟卵が多かったが、

これは顕微授精では採卵から受精操作までに要した時間が長かったことによるバイアスの影響が考えられた

 

 

後ろ向き解析でありこれだけで信じ込むのは危険だが、

「1日あたりのHMG/rFSH注射量は減らして、注射期間は逆に長く設定した」方が

より多くの成熟卵回収が見込めるという

 

 

今日の一曲:Tyrone Curry – Give It Up

「デトロイトの街で俺と出くわしたら運が悪かったと思って諦めろ」

と云わんばかりのアルバムジャケット。

しかし蓋をあけてみれば、これが意外やファルセットで歌う清涼スウィート・ソウル好曲!!

その音楽だけでいい