生殖医療研究最前線、不育症・流産:シタグリプチンによる流産予防効果 | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Tewary S et al., Impact of sitagliptin on endometrial mesenchymal stem-like progenitor cells: A randomised, double-blind placebo-controlled feasibility trial. EBioMedicine. 2020 Jan;51:102597. Mixi news

 

シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、MSD; グラクティブ、小野薬品)はDPP-4酵素を阻害し、インクレチンのDPP-4による分解を抑制する経口血糖降下薬として、糖尿病の早期・初期治療に使用される。DPP-4酵素は子宮内膜への幹細胞のリクルートメント(補充)にも関与しているといわれる。

 

英国・コヴェントリーの研究グループは、反復・習慣流産を経験した女性38人(平均5回の流産、18~42歳)に、月経周期3周期間に渡ってシタグリプチンを投与。投与開始前後に、内膜生検により幹細胞数を測定した。シタグリプチンを経口摂取した女性では、内膜幹細胞数が平均68%増加し、ストレスを受けた内膜細胞は半減したという。

子宮の幹細胞には酸化ストレスや炎症から脱落膜細胞(内膜細胞が妊娠後に変化を起こした細胞)を保護する機能がある。

 

シタグリプチンには流産予防効果が期待され、大規模臨床試験を通して流産の予防効果を検証するという。。

 

今日の一曲:The Apollas - You'll Always Have Me  8年前のほぼコンプリートCD再発がいまだに記憶に鮮明に残る女性トリオ。リードのリオラ・ジャイルズは昨年亡くなられたそうだ。アシュフォード&シンプソンが作曲のナイス・スロー。必聴!!!!!