不妊症全般:特集・バッチリわかる女性ホルモン~はじめに | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Wikipedia

Sarrel PM. Ovarian hormones and the circulation. Maturitas. 1990 Sep;12(3):287-9

 

ホルモン学は大変難しい分野です。

 

女性ホルモン(female sex steroids)は(男性ホルモンもそうですが)、子宮、卵管、卵巣、腟などの生殖器だけでなく全身のさまざまな臓器にいろんな作用を示します。

 

女性ホルモンについて世界中でいろいろな研究が続けられ、毎日のようにその成果がたくさん報告されており、とても全貌を知ることは出来ません。

「バッチリわかる」のタイトルとすでに矛盾しているかもしれませんが、不妊症を理解するうえで必要な女性ホルモンの特徴・生殖器への作用について徹底解剖してみようと思います。

 

 

まずそもそも「ホルモン」とは何か?

 

ホルモン(hormone)とは、生物の体内において特定の器官で合成・分泌され、体液を通して体内を循環し、特定の細胞でその効果を発揮する生理活性物質のことを指す。ホルモンは古代ギリシア語: ὁρμᾶν(hormān,「刺激する」「興奮させる」の意、Wikipediaより)から命名されたそうです。

 

この点から云うと「環境ホルモン」という造語は、正しくありません。多くの生物にホルモン的に作用しますが、その生物自身が分泌したわけではありませんので。マスコミ向けに造られた造語のようですが、英文の論文でこの言葉を使っているのは、ごく一部の日本人研究者だけだそうです(Wikipediaより(笑))。正式名称は「内分泌攪乱化学物質endocrine disrupting chemicals (EDC)」です。

 

その一方、「ホルモン焼き」や「ホルモン鍋」で使われる「ホルモン」の語源は、内臓は食用の筋肉を取った後の捨てる部分なので、大阪弁で「捨てるもの」を意味する『放(ほう)るもん』から採られた(Wikipediaより)そうです。さすがはお笑いの街・大阪、ナイスなユーモア・センスです。

 

ホルモンの対義語がフェロモン(pheromone)です。

フェロモンは、体内において特定の器官で合成・分泌される点ではホルモンと同じですが、体外に分泌され、同種の他の個体にその効果を発揮する生理活性物質のことです(またまたお世話になります、Wikipediaより)。

 

ホルモンは・ペプタイドホルモン、・アミン/アミノ酸誘導体ホルモン、・ステロイドホルモンの3つに大きく分類されます。

女性ホルモンはこのうちステロイドホルモンの仲間です。ステロイドホルモンの特徴は、コレステロールを原材料として合成されることです。化学構造式を見ると女性ホルモンと、コレステロールや副腎皮質ステロイドホルモンの骨格は同じであることが分かります。

 

つづく

 

今日の一曲:Debbie Taylor / Never Gonna Let Him Know ディープな女声シンガーのニューヨークのGWPレーベルからの好スロー。パーシャンズのレイ・ダロージやジョージ・カーが製作。必聴!!!