着床不全・着床障害、生殖医療研究最前線:子宮内には乳酸桿菌が多い。は本当? | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Winters AD et al.,

Does the endometrial cavity have a molecular microbial signature?

Sci Rep. 2019 Jul 9;9(1):9905.

 

子宮の中の乳酸桿菌(ラクトバシラス、Lactobacillus)の割合が高いことが妊娠成立には有利である、と報告されている。

読者の皆様の中にもご存知の方も多いと思う。

 

しかし、これまでの研究の多くでは子宮内フローラのサンプルは経腟的に採取されているため、サンプル内への腟フローラの混入の可能性が常々指摘されてきた。

子宮内の細菌量は腟内の細菌量に比べてかなり少ないため、ちょっとしたことで腟細菌が子宮サンプルに混ざることは十分起こりえる。。

 

今回、良性疾患で摘出された子宮から採った内膜で細菌叢を調べたところ意外な結果であったという。

デトロイトから。

 

摘出子宮内膜は分泌期中期(着床期)のものを用いた。また同一女性で子宮頚管、腟、直腸、口腔、対照サンプルを採取し16S rRNA qPCR sequencingで比較。

 

その結果、内膜と類似した細菌叢を呈したのは子宮頚管のみで、腟およびその他のサンプルとは異なった。

内膜から検出された主な細菌はAcinetobacter, Pseudomonas, Cloacibacterium, Comamonadaceaeで

乳酸桿菌(L. iners & L crispatus)は稀であった。

 

子宮内フローラについてはまだまだ結論的な事は云えない。さらなる研究が必要である。

 

今日の一曲:Rufus / You Got The Love 

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