妊娠中:鎮痛剤とADHDリスク | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Stergiakouli E. et al. Association of Acetaminophen Use During Pregnancy With Behavioral Problems in Childhood: Evidence Against Confounding.JAMA Pediatr. 2016;170(10):964-970

 

少し前にも妊娠中の鎮痛剤服用のリスクの話をしたが、妊娠中のアセトアミノフェン(カロナール、アンヒバなど)服用が、出生児の注意欠陥/多動性障害(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder, ADHD)の発症リスクを増す可能性が報告されている。

 

ADHDは「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力及び衝動性多動性を特徴とする行動障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたす.また7歳以前に現れその状態が継続し中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定」(文部科学省)と定義される。

 

英国・ブリストルからの19912年、前向きコホート研究:ALSPACAvon Longitudinal Study of Parents and Children

妊婦7,796人と出生児および配偶者を対象に20156年にデータを収集解析。妊娠18週では妊婦の53%が、32週では42%がアセトアミノフェンを使用。7歳時に出生児の5%に行動障害が認められた。

 

妊娠1832週の母親のアセトアミノフェン使用により、児の行動障害発症リスクは42%増加、ADHD関連多動症リスクが31%増加。妊娠32週時点で使用すると、情緒障害リスクが29%増加、行動障害リスクが46%増加。出産後や配偶者の服用と児のADHDの間に関連性は認められず。

 

特に妊娠中期(18-32週)のアセトアミノフェン系鎮痛剤服用とADHDリスクの関連性が示された。この時期の使用には注意した方がよい。念を押すが因果関係が示されたわけではない。パニックになる必要はない。

 

出典:The Charmaines / Eternally シンシナティの女子3人組。JBのレーベルメイトでKing Records録音多数。ベテランらしく歌は力強い!