日常生活、子宮内膜症:鉄過剰と卵巣癌 | クイズで学ぶ不妊診療最前線~愛/AIなんだ

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これまで着床不全やPGT-A(胚染色体解析)の問題を取り上げてきました。時代は流れ、今や人工知能が診療に取り入れられるようになってきました。この大きな変革の中で、生殖医療専門医の立場から不妊症・生殖医療全般にわたって自身悩み考えながら学習していく記録です。

出典:Kobayashi H. Potential scenarios leading to ovarian cancer arising from endometriosis. Redox Rep. 2016;21:119-26.

 

現時点で血清フェリチン値を不妊症スクリーニング検査として行う意義は薄いことを、先日紹介した。

 

そうすると、検査はヤメテおこう。でも心配だから鉄だけは摂っておこう、とする女性が間違いなく出てくる。めまいやふらつきの原因を勝手に「貧血」と自己判断して、検査も受けず鉄のサプリメントを飲んでいる方も少なからずいる。でも本当に大丈夫だろうか?

 

昨日も触れたが、鉄は発がんのリスクとなることがすでに医学的に示されている。遊離した鉄イオンが(フェントン反応により)有毒な活性酸素種を作る。ヘモクロマトーシスやウイルス性肝炎からの肝がん、アスベストによる中皮腫の発症などに鉄が関わることが知られている。慢性C型ウイルス性肝炎に対する除鉄療法が肝がん発症予防に有効という報告もある。

 

そして婦人科領域ではチョコレート嚢腫(卵巣性子宮内膜症)からの卵巣癌発症に鉄が関わっているとする多くの医学的研究が報告されていることを周知いただきたい。

 

今日の一曲:Exportations / I Want You  再掲。デトロイトの5人組+女性。BPMを上げたナイス・アップ・ダンサー。フリップ・サイドのスロー・ミディアムも絶品の好シングル。必聴!